2006-03-31

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2003年9月に開始したこのブログですが、月間800万ページビュー(2006年3月実績)を集める人気サイトになりました。私個人の自己表現の一形態として、できる範囲で更新を続けてきたのですが、アクセス数の増加や諸経費の増大に悩まされ、趣味の範囲での運営が難しくなっていたという昨今の台所事情があります。

運営経費の内訳は、具体的には、サーバホスティングデータセンター12万円/月)、書評に使う書籍購入費用(8万円/月)、インタビュー記事を作成した際の謝礼(約5万円/月)などです。これに対して収益としては、本ブログで告知する自主イベントの会費などがあるのですが、収支がまったく合わない状況で、赤字持ち出しが2年半続いておりました。

そんな折に、複数の産業界の先輩方から、橋本さんのブログはビジネス化してはどうか、やる気があるのなら投資する、という申し出を頂いておりました。無料情報提供へのこだわりもありましたし、有料化したとして、読者にそれに見合うサービスを提供できるのか、徹底的に考えてみました。

結論が今回のブログ会員制・有料化の発表になります。

「Passion For The Future」の書籍紹介記事は質が高く、いつもお世話になっている。あらためて見返してみると、自分の購入した本のうちの結構な割合がここで紹介されている本だったりしている。このサイトで紹介されている本には素晴らしいものが多く、ほとんどハズレがない。

だからこそこういったサイト運営の内情を聞くと、高いサーバ代を自腹で出してまで素晴らしいコンテンツを無料で提供してくれている人たちにはどれほど感謝しても足りないくらいなのかもしれない、と思う。

たとえ世間から高い評価を受けているサイトであったとしても、書評を書くのに貴重な時間を使い、自腹でサーバ代まで出しているにもかかわらず高額の赤字が続く状況というのは、運営者にとってはとても大変なことなんだろう。

でも、

【有料会員の募集概要】

・会員登録の開始日時

4月1日 23時~

一般会員   3000円/月(はてなポイントでお支払い可能)

学生会員   2000円/月(はてなポイントでお支払い可能)

デジハリ会員 無料

この金額はちょっと高い・・・。年会費が3000円、とか、月会費がこの1/10くらいであればこれまでの実績から会員登録を考えてみなくもないけれど、いかに有用な情報を得るためといえども、この金額を毎月出せる人はかなり限られているように思う。

また、これまでの実績を知っている人からすればここには有料化できるくらいに素晴らしいコンテンツがあることがわかっているから良いけれど、このサイトを見たことがない人にとっては、金額が高いこともあって有料コンテンツの内側にあるものに3000円/月の価値があるかどうかを判断することは難しかったりするのではないか、とも思う。

とりあえず、「Passion For The Future」の記事が読めなくなるのはとても残念だけど、現状の会費制が続く限りは他の無料で読めるいい書評サイトを探すことになるのかもしれない。


また、仮に金額が十分に安かったとしても、まだ小額決済のためのいい方法が存在していない現状では「無料」と「十分に安価ではあるものの有料」の壁はとても大きい。たとえ無料であっても会員登録しなければならない場所を見に行くだけでもやや抵抗があるのに、そこでさらにお金を取られるとなれば、なおのこと壁は高くなる。

そして今回の有料化を機会に、ネットのコンテンツはタダという風潮に一石を投じたいと考えております。「無料だから読んでいたのに」というご意見があることは想定しておりますが、有料で、もっとたくさんの読者に読んで頂けるように、コンテンツ強化に励んでいきたいと存じます。

この考え方自体には大いに共感できるところもあるけれど、やはりwebの世界は無料で何でも見られる、という事が基本になっているので、課金されるコンテンツは避けて無料のものに流れてしまう傾向は無視できないように思う。自分がはてなを使い始めたのも「アンテナとダイアリーを使うだけなら無料だったから」という部分が大きいし、Googleがどれほど優秀であったとしても、もし「一回の検索につき1円」みたいな料金体系だったとしたら、よほどのことが無いかぎりは普段の検索には他の検索サイトを使うような気がする。

もしかしたらwebのさらなる発展のためには、このようなある意味歪んだ有料化を行わなくてもこういった良質なサイトにはごく自然にそれに見合った見返りが行くような、作る人も見る人もみんなが幸せになれるような仕組みが求められているのかもしれない。

ラジオやテレビのように、使う人が無料であることが前提と思っているところから直接お金を引き出そうとするのであればよほどの工夫が必要になるんだろう。カジュアルゲームにも通じるところのある話かもしれないけれど、課金への抵抗を減らす手段を考えるとともに、できるだけ多くの人に見てもらうほうが価値の高まるコンテンツなら、サイトの一般の利用者から直接徴収するのとは違った経路からの収入源を考える方がいいのかもしれない。

広く一般に知ってもらい、それを使ってもらうためには、少なくとも入り口の部分が無料であることはとても重要に思う。垂直立ち上げに近い状態でシェアを広げたいなら特にそうすべきだし、またそうしないと競合する相手に先を越されてロックイン状態に入られて手が出せなくなってしまう危険もある。それでも全く収入源のないままに高品質なものを提供し続けることは難しいだろうから、運営の規模に見合った適切な収益が得られるいい方法を模索していかないといけないんだろう。

と、ここまで書いてから今日の日付を思い出した。