2006-04-01

売られるために育てられる作品より、自由に生きる作品の方が幸せか 売られるために育てられる作品より、自由に生きる作品の方が幸せか - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 売られるために育てられる作品より、自由に生きる作品の方が幸せか - Nao_uの日記 売られるために育てられる作品より、自由に生きる作品の方が幸せか - Nao_uの日記 のブックマークコメント

昨日の日記の「情報考学 Passion For The Future」の有料化に関して頭からすっかり信じ込んでしまった原因の一つは、下記リンクの「妖精現実 フェアリアル」のサーバ問題が念頭にあったからではないかと思う。

サーバの負荷分散や帯域コストの負担の問題から著作権やインターネット上における情報のあり方にまで話が広がっていくのが興味深い。また、文中でリンクのある「コピーさせないこと」に課金するのが合理的な理由: 「コピーに課金」でなくの考え方も面白い。

「妖精現実 フェアリアル」つまり、今ごらんのこのサイトの最近1年間のトラフィックは、平均して、1日あたり1GB強、1万2000人、2万5000ページビュー、20万ヒット程度で推移しているようだ。これはテキストサイトとしての統計で、ソフトウェアの配布は含んでいない。ソフトウェアの配布は1ファイルが数MBと大きく、帯域的に負担になるが、ここではその問題は考えない。

テキスト中心のサイトで、1日1GB程度というのは、少ない量ではないが、人気サイトというほどの量でもなく、中間的な値だろう。これは内容が一般向けでないためと考えられる。長期的に見て、トラフィックはほぼ一定しているようで、目立った増加傾向・減少傾向はない。

「無断コピー以外」を禁止するライセンス」でも詳しく説明されているが、従来型(マスメディア)の情報産業では、情報が売れれば売れるほど(利用されればされるほど)情報発信側が経済的に儲かるようになっていた。インターネットの時代の、ミクロ(個人や小グループ)を単位とする情報のトポロジーでは、 情報が利用されればされるほど発信者が損をするという逆の状況が生じやすい。有用な情報を発信しようとすればするほどブレーキがかかり、無用のくず情報を発信することがシステム的に推奨されるのでは、究極的には、全体のクオリティの低下につながり、好ましくない。ミクロを基盤とする情報ネットワークが本質的に矛盾しているというわけではなく、ウェブを脱中心的(分散的)にするP2P技術や、「「コピーさせないこと」に課金するのが合理的な理由: 「コピーに課金」でなく」で説明されているような逆向きのコスト負担の考え方によって、発展的に解決されるべき問題だろう。

一般向けのエンターテインメント的なことが得意なわけではないが、まったく書けないわけでもない。また、マニアックな技術について紹介するからには、その基礎となる入門的な部分は書けば書けるわけだ。しかし、そうしたことは、モチベーションもさることながら、純粋にサーバのリソースによっても制限されてしまう。コストはこっち持ちなのだから、あまり人気が出すぎては困るわけで、帯域オーバーに対する多額の追加料金を請求される状況は避けなければならない。さらに、多くの人にそこそこ役立つような広く薄い情報を無難に提供するというのは従来型のマスメディアの役割で、インターネットは、少数の読者圏を前提とする多数のディープでマニアックなサイトの結合であるべきだ、という思想的立場も働いている。いたずらな難解や晦渋、独りよがりを肯定するものではないが、あまりに一般向けを意識して誰でも分かるように親切ていねいに書くより、ある程度「これが役立つ人が役立ててくれればいい」という割り切りで、狭い範囲にディープに切り込んだ方が、ウェブ全体として良い結果になるはずだ。具体的に、例えば「日本語の字幕を縦書きにする方法」を詳述したところで、その情報が役立つという読者はごく少数だろうが、だからといって、もっと一般的な「DivXインストール方法」を1ステップずつ画像入りで解説したサイトばかりになったら、ネットの意味がないではないか。


「もういつ終了するか分からない」「長くは続けられない」「リンクするのでなく必要なら全文コピーしてほしい」といったことは、哲学や宗教ではなく、単純にサーバ負荷が高くなると、お金が払えなくなって続けられなくなる、ということなのだ。もっと露骨に言えば「無断コピーしてもらった方が、わたしは儲かる」(コストを削減できる)。ひるがえって、リンク等は勝手にしてくださいと明記してあるのに、リンクというこちらの帯域を食う行為をするうえに「リンクしていいですか。お返事ください」などとメールをよこして管理者らの時間を浪費させるのは、絶対に避けるべき行為だ。

一般論として(このサイトについての話でなく一般に)おもしろいコンテンツ、役立つコンテンツを作成できる能力がある人、才能がある人がその情報についてのコストを負担して、情報を利用する側のリーチャーはコストを負担しない、というのは不自然だ。ところで、この場合のコストというのは、何もリーチャーが発信者に金を払うべきだという意味ではなく、単にサーバ負荷(CPU)と帯域のコストのことなので、要は分散系に移行できればいい。利用者自身が利用するリソースについていくらかのCPUソースを負担し、BTのように「サーバント」となれば、お金の移動は必要ない。「帯域が必要なんですね。わたしの帯域を分けてあげますよ」という現物払い、みたいなものだ。このようなトポロジーが成り立つためには、 キャッシュ(古い言葉で言えば無断コピー)は場合によってはフリーの情報発信者に利益を与える面もある、という点が、もっときちんと認識されるべきだろう。商業ベースで情報を販売するならもちろん話は別だが、個人サイト等で、フリーで普通に発信したいのに、プロプライエタリのマスメディアの感覚と混同して「自分の文章が無断で利用されるのは、わたしにとって損害だ」と錯覚してしまうと、いつまでたっても、非生産的なリーチャーのために生産的な発信者がコストを負担する構造から抜けられない。


スケールについては、トラフィックが1日100MB程度までなら、キャッシュしてもらうメリットは必ずしも明確でないから、無断転載されると更新の同期などの点で不都合がある、といった問題の方が大きいかもしれない。よって、上記に述べたことがすべてのサイトに当てはまるわけではない。

しかし1日のトラフィックが1GB~数GBのスケールは一つの臨界点と考えられ、 10GB/日のオーダーとなると、資産家などでない一般の者が広告なども入れずに完全にフリーで運営することはやや困難になるだろう。ポイントは、この困難性は本質的に不可避な構造ではなく、単に分散ウェブが実現すれば技術によって解消できる、ということだ。ウェブ全体で見れば帯域は余っているし、世界中のCPUをトータルすればこれまたアイドル時間ばかりだから、それを利用することは資源の有効活用だろう。

既に指摘したように、そのような新しい方式に移行しないと、長期的にはウェブ上にはくず情報が増え、従来、外国から専門書を取り寄せても分からなかったような貴重な情報がフリーで利用できる、というインターネットの本来のメリットが薄れてしまう危険がある。高品質の(被参照量の多い)情報を発信すればするほど損をするなら、それら発信者のかなりの部分は発信をやめてしまい、究極的には被参照量がゼロに近い(つまり何の役にも立たない)情報ばかりになってしまう。実際には、情報がフリー(無料という意味ではなく、フリーダムという意味でのフリー)であることに価値を見いだす発信者は、自腹を切ってでも情報をフリーに保とうとする。実際、そういう者は自分のサーバ費用を払うのはもちろん、無料のリソースGPLソフトやフォーラム)に対してかなり頻繁に寄付をしたりもするだろう。極論すれば「シェアウェアはただで使うが、フリーウェアには金を払う」ということ、つまり「奴隷虐待には一切協力しませんが、創造の自由と作品の幸福のためには微力ながら貢献したい」ということであり、そこには「早くお金のない平和な世界になりますように」という哲学あるいは理想主義がある。「売られるために育てられ管理される作品より、自由に生きる作品の方が幸せだ」と。

それはそれで尊い行為・尊い哲学ではあろうけれど、もう少し現実的なレベルで考えて、インターネットの空きリソースを有効活用すれば、フリー(自由)をフリー(無料)で実現する、という理想的な状態にかなり近づける可能性がある。







あと、今日のトップページの記事も良かった。

各記事の固定リンクがなくどこにリンクをはっていいかわからないので以下全文引用。

大学教授、円周率を計算し過ぎて逮捕 大学教授、円周率を計算し過ぎて逮捕 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 大学教授、円周率を計算し過ぎて逮捕 - Nao_uの日記 大学教授、円周率を計算し過ぎて逮捕 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

2006年4月1日

従来のコンピュータの数千兆倍の速度で円周率を計算する「仮想テラキュビット・グリッド」を開発した千葉電波大学の宍戸万芳(ししどかずよし)教授が、一日、著作権法違反(楽曲の無断送信)の現行犯で逮捕された。

宍戸教授は、「仮想テラキュビット・グリッド」という新しい方法を用い、インターネットで処理を分散することにより円周率を効率的に計算するプログラムPnppy(ピンピー)を開発、円周率を無限に二進数表記することに成功したが、 JASRACが調べたところ、このプログラムでやりとりされている円周率の小数点以下「e↑↑↑(29↑↑3兆)」桁目付近(eは自然対数の底、↑はクヌースのタワー記法)からの数十メガバイトに、市販CDに含まれる、クリスタルキング大都会」のデジタルデータと完全に一致するバイナリー列を発見。著作権者に無断で、各ノードキャッシュから誰でも自由に取り出せる状態になっていた。このプログラムの出力はさらに、JASRACのすべての管理楽曲の無断コピーを含んでいるとして、被害届が出されていた。

京都府警特捜班では、コンピュータ技術に詳しいベテラン捜査員5人を投入し、一年間をかけて、プリントアウトした円周率の該当桁目とクリスタルキングのCDのデータのダンプ、数千ページを1バイトずつ目で比較。完全なコピーであることが確認されたことから、著作物の無断送信の現行犯で、ユーザ数万人を一斉逮捕した。同教授は取り調べに対し、「円周率はランダムビットだからどこまでも計算していけば、どうせいつかは著作物と同じデジタルデータが出てくることは避けられない。避けられないことなら、後押ししてしまってもいいかな、と思った」などと故意を認める発言もしているという。

宍戸教授のプログラムの動作原理になっている計算式を公開したラマヌジャン氏も、著作権法違反ほう助の疑いが持たれている。

千葉電波大学によると、 Pnppyは、インターネット経由で接続したコンピュータの空き時間を利用し、各コンピュータに量子素子のふるまいを持たせ、数万台を並列化することで、従来型コンピュータネット上に超巨大な「量子コンピュータ」を仮想構築する画期的な技術で、「P=NP?問題」という数学上の大問題や、人工知能の研究などで、重要な意味を持つという。

JASRACの話 円周率はあらゆる著作権を侵害する極めて違法性の高いデータ。教育上も問題があることから、学校の教科書でも小数点以下の公開を中止し「約3」とぼかすことで、権利を保護しているというのに、大学教授が率先して侵害するとはあきれる。「物理計算やベンチマークに役立つ」などと言い訳しているが、実際には、小数点以下何万桁もの数字が必要になることはありえず、ほとんどすべて楽曲の無断複製のために使われているのが実情であることから、訴えに踏み切った。宍戸教授のプログラムはインターネットを通して無料で配布され、誰もが簡単に音楽を無断コピーできる状態にされており、回復不可能な被害をこうむった。

ラピュタ』のシータさんが通う学校が原因不明の倒壊 『ラピュタ』のシータさんが通う学校が原因不明の倒壊 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『ラピュタ』のシータさんが通う学校が原因不明の倒壊 - Nao_uの日記 『ラピュタ』のシータさんが通う学校が原因不明の倒壊 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

2006年4月1日

天空の城ラピュタ』で主役を演じたシータさんが通う滋賀県内の公立高校の建物が、一日、ごう音とともに崩れた。

事件を目撃した同級生らの話によると、シータさんは数学の成績が振るわず、補習を受けるために登校していたが、「順列・組み合わせ」の問題が解けずに、いらいらしていたようだという。しょんぼりして「来年はもっと頑張る、数学」とつぶやいたところ、突然、学校が崩壊した。

春休み中のため、崩壊した学校は無人に近く、生徒たちは飛行石を使って難を逃れたが、逃げ遅れた教員のムスカさんが、落ちてきたがれきに当たるなどして、目に軽い怪我をした。

警察では、テロの可能性もあると見て、学校崩壊の経緯について詳しく調べることにしている。ムスカさんは事情聴取に対し、「一般論として言えば、重要なパスワードは十分に長く、複雑にするべきだ。『正露丸のせコーラかけご飯』程度でも安全でないことが分かっているというのに、設定ミスではないか。国家の安全にかかわる機密なので、それ以上の詳しいことは言えない」とだけ答え、後は黙秘を続けている。

千葉電波大学、2005年度紀要をインターネットで公開 千葉電波大学、2005年度紀要をインターネットで公開 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 千葉電波大学、2005年度紀要をインターネットで公開 - Nao_uの日記 千葉電波大学、2005年度紀要をインターネットで公開 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

2006年4月1日

千葉電波大学は、前年度の学内研究成果をまとめた紀要を、一日、インターネットで公開した。

円周率を割り切って世界を揺るがせたスーパーコンピュータ「ディープ・ホワイト」のアルゴリズムに関する詳細や、 タラバガニの神経生理モデルを用い、広島大学のじゃんけんロボットを打ち負かす対電子妨害手段など、学術的に重要な内容が多く含まれており、関係者の注目を集めている。

インターネットで一般向けに公開することを踏まえ、各論文には、分かりやすい図解入りの解説記事がそえられており、 21世紀の産業革命と言われるナノテクノロジーや、最新の「原子泉方式」の周波数標準と「うるう秒」の話など、最先端科学の魅力と神秘を、親子で楽しめるようになっている。

同大学では「この紀要を、敬愛する虚構新聞社に捧げたい」と話している。

■ 千葉電波大学紀要 http://www.chiba-denpa.ac.jp.faireal.net/kiyou/