2005-12-24

[][]キングダムハーツキングダムハーツ2 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - キングダムハーツ2 - Nao_uの日記 キングダムハーツ2 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

会社の何人かで『キングダムハーツ2』の最初の30分ほど見てみた。ムービーのクオリティは非常に高いものの、ゲーム開始早々に大して面白くもないお使い的なアルバイトのミニゲームを強要され、この段階ではどこが面白いのかがわからずにすぐに止めてしまった。

どんなゲームなのかの雰囲気だけつかめたら小さなお子さんのいるデザイナの先輩の人に持って帰ってもらって遊んでもらおうと思っていたのだけど、ターゲットの年齢層が想像してたよりも高そうだったのと、まだちゃんとゲームも始まっていないのにこれだけで内容を判断するのも早計だろうと思い、仕事を早々に切り上げて自宅に帰ってもう少しだけ進めてみることにした。

とりあえず帰宅してから3時間ほど進めてみて、ディズニーキャラがでてきて一緒に戦闘をしてくれるところまでは進めてみた。戦闘部分はボタン連打のみで敵の状態に合わせて自動的に連続攻撃やジャンプ攻撃が出るようで、時折△ボタンで出せる特殊行動がアクセントになっている。適当にやっているだけでもそれなりに気持ち良く攻撃がつながり、詰まることなくゲームを進めることができる作りとなっている。魔法や連携技などの要素がまだ出てきていないので、ここからさらにプレイ感が変わるのかもしれない。

「長いムービーイベントの合間にボタン連打でも進める演出重視の戦闘や、目的地への移動作業が入る」という、悪い意味での現代的なつくりのゲームで、自分がコントローラーを操作している時間よりもイベントを見ている時間の方がずっと長いくらいに感じた。話自体はさほど良いとは思わないのだけど、ムダにクオリティの高い映像に惹かれてついついだらだらと続けてしまう。フレームレートは30fpsであるもののモーションが非常に滑らかで、操作系はシンプルで反応もよく、動きにも違和感がない。全体に丁寧な絵作りで、エフェクトもスクウェアらしくとても綺麗。内容・ターゲット・発売時期が似ている『ローグギャラクシー』とくらべると、圧倒的によくできているように感じられた。

アクションやシステムも取り立てて面白いとは思わないもののそれなりに爽快感はあり、なによりストレスになる部分がほとんどない。次にやるべきことはステータス画面のメモで常にフォローされ、戦闘の難度が障害となって進めなくなることも今のところまったくない。

映像がとても綺麗なうえに豊富なイベントで飽きさせず、戦闘も爽快感があってゲーム進行全般にストレスがない。好みの問題を無視すれば「悪い点がほとんどないゲーム」だとも言えてしまう。

 ゲームはもともとストレスと表裏一体で、当然嫌な思い苦しい思いをする。そこを省いちゃったら何にも面白くない。

 レベルあげのために村の周りをぐるぐる回るRPGが出てこなくなってから久しいけど、そして確かに、俺はRPGをやっていて、よほどのことがない限り村の回りぐるぐる回んなきゃならなくなった時点でやめちゃうのだけど、それじゃ何にも面白いことはない。

 しかしもうレベル上げしなくていいRPGの楽さを知ってしまったから、戻れないんだ。人間は楽を覚えたらなかなか戻れない。一旦車がある生活に慣れたら、車がなきゃ生きていけなくなる。それと同じことだと思う。

「こういうゲームは嫌いだ」と思いつつも、ついつい止め時を見失って遊んでしまう。他の難しいゲームは簡単に投げてしまうのに。こういうつくりのゲームは絶対的な快感は少ないものの、多分誰がやってもそれなりに「面白く」感じてしまう。

難度が高くストレスがたまるものの独特の快感があった「バーンアウト2」よりも、単調ながらクラッシュ上等で単純な爽快感重視に変わった「バーンアウト3」の方がプレイ時間が長かった、ということに気づいた時にも似たような感覚を味わったけれど、今回はよりいっそう酷い。

実際問題、このイベント密度でアクションの難度が高いとそれが障害になって鬱陶しいだけだろう。そういう意味ではとても良いバランスだともいえる。嫌い嫌いといいつつも「これはこれで楽でいいかも」と思っている自分もいる。これがエスカレートするとどうなるんだろう?自分の中の何かの価値観が壊れそうで怖い。対象の層や方向性は同じであったとしても進むべき道はこれだけではないだろうから、とりたてて心配するようなことでもないのだろうけど。

 だからゲーム業界はカルテルを組んで、楽をさせようとするゲームを取り締まる必要があると思う。FFとかそういう楽なRPGは全部取り締まって、戦闘システムを書き換えてWizardryぐらいまで難しくしてやる。そうすればきっと、苦しいのも乗り越えて、ゲームの楽しさが蘇るはずだ。

簡単なゲームばっかりになったときに、「ライトゲーマーにこびやがって」的な言説がはびこったが、本当のことをいえばヘビーゲーマーだって、その楽さの中でどんどん牙を抜かれていったんじゃないか。むしろFFみたいなのをいろいろ文句をいいながらも、みんなが買ったのだ。本当はみんな大好きなのだFFが。ムービーばかりで中身がないとかいいながら、本当はみんなムービーが大好きなのだ。特に何も考えなくても勝てる戦闘が大好きなのだ。気付いてないだけだ。

「高難度、不親切」の代名詞であった洋ゲーですら、『God of War』のような日本的テイストを取り入れた親切設計のゲームも増えてきている。できるだけ多くの人に遊んでもらう必要のあるいわゆる「大作」とよばれているようなゲームにおいては、プレイヤーに苦痛を与えることで快感を見出させるゲームデザインはもはや時代遅れなのかもしれない。少なくとも、広い対象へ訴求したいのなら、こういう作り方を十分に意識しておくべきなんだろう。

このようなゲームを遊んでいると、極論で暴論ではあるものの上記のような「楽をさせようとするゲームを取り締まる」ようにしたいと思いたくなることもあるが、自分自身の感覚も含めて、いったん楽になったものが後戻りすることはない。

10年後のゲームはいったいどんなものになっているんだろう?