■ 「フレームシティ」に何があったのか?
- 「フレームシティ」に見るUnreal Engine 3.0の現在
ナムコのXbox 360専用オリジナルタイトル「フレームシティ」は,国内作品としては初めてEpic Gamesの「Unreal Engine 3.0」(以下UE3)を用いて開発された作品だ。「Unreal Tournament 2007」が2006年の発売予定であるなど,PC向けのUE3採用ゲームの発売はまだ先になることを考えると,Xbox 360と同時期の発売が予定されているフレームシティは,初のUE3採用ゲームタイトルとなる可能性が高い。
今回はそんなフレームシティが,UE3を用いてどのように開発されているのか,ナムコの開発スタッフに聞いてみることにした。
『フレームシティ』は家庭用ゲーム機としては初のUnreal Engine 3.0採用タイトルで、ハードの発売と同時期にXBOX360のパワーを生かした美麗で広大な世界を持つ大規模なゲームを出すためには、現状ではミドルウェアの力を借りなければ困難だろう。いずれこのようなミドルウェアを使う機会があったときの参考になるだろうと思って、どんなゲームに仕上がるのか期待していた。
確かに,影生成についてはかなり凝ったものになっていますね。UE3の機能として提供されているものなので,どういうときにステンシルシャドウボリューム技法やシャドウマップ技法が使い分けられるのか,はっきりとしたことまではお話できないのですが。ただ,人物のセルフシャドウはもちろんのこと,ビルが落とす影が,太陽の位置によって変わったりしますし,もちろん伸びたり縮んだりもします。
光源や影などの表現をエンジンレベルで対応してくれていれば、細かい融通が利きにくくなることはあるかもしれないけれど開発コスト的には非常に有利であるように思う。特別なことをしたいのでなく、誰がやってもほとんど同じ表現にしかならないものなら自前でゼロから書き起こすメリットは薄いだろう。
光や影に限らず、ゲームを作るのに必要な基本的な部分のライブラリが揃っていれば労力の大部分をゲームのコンテンツそのものに費やせるため、本当にゲームの「面白さ」を追求するためには有効なはずだ。
しかし、先週末に発売されたファミ通の画面写真を見て驚いた。
- 10月末の段階のスクリーンショット
- 最新のスクリーンショット
セルフシャドウはおろか、影そのものがない!
というかそれ以前の問題。次世代機の映像というよりは作りかけのDCのゲームみたいな状態で、車のデザインやポリゴン数などはPS1のゲームを見ているようだ。この2ヶ月の間に何があったのか?
スクリーンショットの検索過程で見つけた公式ページのトップには次のようなことが書かれていた。
発売延期のお知らせ
弊社にて、2006年2月23日に予定しておりました
Xbox360用ソフト『フレームシティ』の発売日につきまして、
更なる品質の向上を期すため以下の通り延期をさせて頂く
ことになりました。
【変更後発売日予定】 2006年春以降
ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解賜りますよう
宜しくお願い申し上げます
まぁ、この状態ならそうなるだろうなぁ・・・。変更後発売日予定は2006年春「以降」、と。
原因は想像するしかないけれど、開発環境などとにかくいろいろあって大変なことになっているのは間違いないのだろう。
また買えるものが一つ減った・・・。
*1:太陽光のセルフシャドウを実現しているこのSSでも、完全にビルの影の中にいる人や車に影が出ないので明らかに不自然に見える。平行一光源ではシーン依存が激しすぎるので、これがそのまま実現できていたとしてもさらにいろいろ手を加えていかないとダメだよなぁ・・・。これをどう解決しているのかが気になっていたのに。