2005-09-07

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出発

仕事が一段落したので、今日から今週いっぱいまで遅めの夏期休暇。

先週の日曜は雨で出かけられなかったので、この休みの間に自転車でどこかに行きたいと思っていた。昨日の予報では台風が来ているので一日雨になると言っていたけれど、朝起きてみると青空が見えてたので今日出かけることにした。目的地は特に決めず、下調べも何もせずにとりあえず南の方角に行けるだけ行ってみる。自転車で出かけるのも久々なので、様子を見ながら適当な場所で戻ってくる予定で出発した。

26号線

玉出あたりまで来た所で「和歌山まで60Km」という看板をみつけたので、とりあえずそれを目標に26号線をまっすぐ進んで、和歌山方面へ。天気は回復しているけれど、まだ風が強くて思ったように進めない。向かい風に押されていくらペダルを踏んでもなかなか進まず、疲労ばかりがたまっていく。

岸和田あたりまで来て、飲み物を買うためにコンビニに入った時に時計を見て愕然とした。これまでに進んだ距離を出発からの時間で割って速度を概算すると、休憩込みで時速10Km少々しか出ていない。夕方くらいには家に戻りたいな、と思っていたけどこのペースで和歌山まで行って戻ってくると、確実に日が暮れる。風が強い上に体力が落ちているので、いくら進んでも残り距離がなかなか減らない感じで、普段はまず使わない2速とか3速のギアに落とさないと足が動かない。だんだん辛くなってきた。

熊取を超え、泉南市に入ってもまだ残り距離は30Km以上ある。これまでずっと遠景に見えていた大阪平野の南端の山がだいぶ近づいてきた。ここに来るまでにすでに4時間近くが経過しているが、この調子で進むと日のあるうちに帰り着くのはまずムリだろう。短いトンネルを抜けると、すぐ目の前に大阪と和歌山の境の和泉山脈が広がっているのが見えた。道路の案内板によると「和歌山まで25Km」と。山道込みで25Km・・・。軽い絶望感。

よほどここで引き返そうかと思ったけどこのまま帰るのも癪なので、とりあえず26号線の山道に突貫しよう、と思っていたら少し山に入ったところで道が自動車専用の高架になってしまった。しばらく高架に沿った細い山道を通って追ってみたけれど、高架は下道のない山の中に向かって消えてしまった。仕方がないのでその細い山道をそのまま進んでみる。

山道

山道の両側には細い山間を切り開いて作った水田や畑があり、農家がちらほらと見える集落を通っていた。時折正面から車がやってくるのでもしかしたらこの道は26号線ができるまでの旧道で、ここを進めば和歌山に着くかもしれないと思い、しばらくそのまま進んでみた。しかし、進めば進むほど道は細くなり、対向車も減ってきたのでどうもこれは旧道などではなくそのまま山の中に向かっているだけただの山道であるような気配がしてきた。

両側にちらほら見えていた家の数も減ってきたあたりで、近所の農家らしき格好をしたお婆さんを見かけたので、「この道をまっすぐ進んだらどこにつながっていますか?」と聞いてみると、「キャンプ場があるくらいでほんとに何もないよ。和歌山まで行こうと思ったらず~っと遠回りで山道を抜けないといけない」という返答だった。お礼を言いつつ、とりあえず行ける所まで行ってみようとさらに山道を登ることにした。

お婆さんの話の通り、道はどんどん細くなってやがて舗装さえなくなり、正面から来る車も途絶えた。それでもしばらく上り続けると「発破注意!」と書かれた看板の先に採石場があった。どうやら山の岩肌を爆破して砂利をつくる施設のようだが、今日は休みなのか誰も人がいなかった。道路工事に使うような砂利が大量に積まれていて、その近くに爆破した石をトラックで上から流し込むと、細かく砕いたうえに大きさ別に分類して積み上げるための大掛かりな機械が設置されていた。機械は破砕機やベルトコンベア、大きさ分類のための各種フルイなどから構成されていて、あちこち錆びたり汚れたりしてかなり古びているものの、まだ現役で稼動しているようだった。こういう仕掛けは見ているだけで楽しい。奥にある石を切り出した後の切り立った崖とあわせてなんとなく趣のある絵面になっていて、いろいろな角度からしばらく眺めていた。カメラを持ってくればよかった、と少し後悔した。

採石場を過ぎてからはしばらくの間はひたすら山道が続くばかりで本当に何もなかった。他にすることがないので歩きながら周りの音に耳を澄ますと、ツクツクボウシやミンミンゼミの声や川の流れる音、時折聞こえる野鳥の声などが周囲360度からサラウンドで聞こえて圧倒される。自宅や職場にいても空調の音やPCの排気音、高速道路を走る車の音など、どれほど静かにしていても人工的な音が聞こえない場所はない。他には誰もいない、本当に何もない山の中にいるとそういった人為的な音はまったく聞こえず、晩夏特有のさまざまな音色がそこかしこから鳴っては消えを繰り返す。しばらくするとなんだか現実感のない別世界にいるような気さえしてきた。ものすごい開放感。

さらに進むとキャンプ場が見えてきた。季節外れのためか誰もいない。いくつかの機材に青いビニールシートが掛かっている以外には何もない。そこからさらにもう少し進むと小さなダムがあり、道はそこで途切れていた。この先で崖崩れのために通行不能になっているためにここで閉鎖しているらしい。ここも誰もいない。高い場所にあるためか少し見晴らしはいいが、どんなに遠くまで見渡しても山しか見えない。あたり一面から聞こえるセミの声を聞きながら少し休憩した後、こんな誰もいない場所にいる蚊は、普段は誰の血を吸って生きてるんだろうか?、などと余計な心配をしつつ、岐路に着いた。

帰路

山道を下り、26号線にもどってみるとだいぶ風が収まっていた。来るときには向かい風だったので、帰路は追い風。来るときの苦労がウソのようにペダルが軽い。初めて通る道でいつも感じる、往路でものすごく長く感じていた道程が帰路ではそれほどたいしたものでもないように感じられる感覚が好きだ。疲労はたまっているものの来るときよりもテンションが高いためか、あまり疲れを感じなかった。結局、3時間少々で家に帰り着いた。出発から帰宅まで約9時間と少し。

最近、なんとなくいろいろとダレ気味で調子もよくなかったのでいい気分転換(&現実逃避)になった。運動の後に食べる食事はとても美味しいし、これだけ運動すると今日はとてもよく寝られそう。「しっかり食べて、ちゃんと寝て、キチンと起きて、せいいっぱい仕事して」。そんな感じで。