■ [開発]インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001909.html
「プロになるための高速道路が整備されたということは何を意味するでしょうか。それは、エンジニアの相対価値の低下を意味します。これまでその道のプロだとして希少性をもって価値を発揮していた人々は、後続の高速道路乗りたちにあっという間に追いつかれてしまいます。そこから先はもう大混雑。数歩先に抜きん出るのも大変な状況です。」
10年ほど昔、プログラムを学習するときの主な参考資料は書籍でした。
しかし、ハードウェアの詳しい資料が掲載されている書籍は稀少で値段も高く、PCや
開発環境も現在に比べると圧倒的に高価だったので、やる気はあれどもお金も技術も
足りない田舎の学生にできることはたかが知れていました。
パソコン通信などでハイレベルなやり取りが交わされることもありましたが、そのような
環境を使えるのはごく一部の限られた人だけだったのではないかと思います。
現在ではインターネットの普及により、最新の資料と開発環境がほぼ無料に近い形で
いつでもネットワークからダウンロードできるし、参考になるサンプルソースもちょっと
検索するだけで簡単に見つけることができ、まさに「高速道路」と呼べるようなすばらしい
学習環境が整っています。
そのような環境の中では、学生の頃からでも相当なレベルの技術を磨くことができるようです。
最近では新卒でも非常に高い技術を持って入社してくる人たちもいますし、年々その傾向は
強くなっているのではないかと思います。
自分もこの数年で、高速道路に乗っかりながら曲がりなりにもプログラマとして食べて
いける程度の技術は身に付けることができました。
しかし、その高速道路もそろそろ終わりが見えてきました。このまま乗っていても、目の前も
後ろもどん詰まりの大渋滞になるだろう、というのはほぼ確実なように思います。
上記のリンクを見て、以前から感じていた漠然とした不安感の原因がハッキリしました。
渋滞を避ける(2004年12月12日)
http://homepage1.nifty.com/bee/diary/index.html
高速道路を避けて生きることは可能かと題された梅田さんの記事。先日の高速道路の話の続きというか梅田さんなりの回答というか、高速道路との付き合い方を提示している。
道が無い方、道が無い方と進んでいくというのは競合する相手がいない、もしくは少ないということで勝負としては有利だ。ただし、この道もなかなか厳しいものがある。確かに先行者も少なく競争は有利に見えるかもしれない。が、自分が進むことでその後ろに高速道路が敷設されてしまうのだ。目をつけられるとあっという間に後ろに張り付かれる。先行逃げ切りができる体力があればよいが、道を切り開くところで消耗していると追い抜かれてしまう。
「何か一つの道を極める」というのは自分には無理だということはわかっている。
なぜなら、右を見ても左を見ても上を見ても、自分よりもはるかに実力のある人が無数に
見つかるので、どうやってもその分野で世界一になることなどできないから。
かといって「まだ道がない場所を開拓していく」こともできない。そんな才能も能力も持ち
合わせていないから。
では、そんな自分にでもできることは何なのか?
筋の通った太い幹を一つ持ち、ありものの高速道路を利用して沢山の方向に枝葉を茂らせる。
高速道路があれば少ないコストと才能でも、簡単に新しい方向に枝を伸ばすことができる。
自分に向いてない、とか、やっぱり今は必要なかった、というときには枝を伸ばすのをやめて、
また違った高速道路を探せばいい。
そうやって広がった世界で幹をさらに太らせ、太い幹からまた枝を伸ばす。
どんな木になるかは育ててみないとわからないし、そのやり方が正しいかどうかの自信もない。
ただ、今はとりあえずそんなやり方で進んでみるのがいいのではないか、と。