2006-08-12

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見てきた。酷い酷いと言われていたにしては、それほどでもなく案外普通だったな、というのが第一印象。

カットのつなぎやラスト近辺の展開には良くわからないところもあったけれど、最後まで退屈することもなく、全体としてみればそれほど悪いものではなかったように感じた。とはいえ、そう感じられたのもあからさまなネガティブキャンペーンを散々見聞きしてからバイアスのかかった状態で見に行った結果であって、純粋にこの夏の目玉の「ジブリの新作」として見に行った人からみると水準に達していないというのもまた事実ではあるのだろうけど。

この道何十年の経験を持つ宮崎駿の代わりを完璧にこなせる人間なんて存在しないだろうし、ああいった環境ではそのような人材も簡単には育たないだろう。何でもできる天才的な人間がトップにいてしまうと、どうしてもその下にいる人間は伸びない。天才な人には他人には見えないいろいろなものが見えているが故に、いちいち細かく指示して他人に任せるよりも自分でやったほうが早くて間違いが少ないという結果になってしまうのだろうし、その下にいる人間もそんな環境に甘んじて依存しがちになってしまう。

そういった組織から天才的なトップを抜いた状況下で、全く未経験の人間を擁立して指揮を取らせるのはある種無謀だし、それでいながらこれまでと同じ質のものを期待するのは土台無茶な話であるはずなのに、作品の売り方に関しては今までと同じやり方でやってしまったというのが、今回作る人・売る人・見る人みんなが不幸になってしまった原因の一つであるように思う。ある意味ローグギャラクシーの製作過程と似た状況かも。あちらはあまり心情的には擁護しづらいけれど。

商業レベルとして通用するような作品世界を構築できる才能をもつ人はとても少ない。漫画や小説のようにほぼ一人で完結できるものではない、もっと大規模なチームを組んで一つの作品世界を作っていくことが必要とされるメディアでは、なおさらそれが難しい。多くの人達で何年もの時間をかけて作り上げるような作品を作るためにはそのような才能を持つ人が必須となるのだろうけど、それとは別に、そういった稀有で特殊な才能に依存しない作りかたや、それに向いた作品を考えていくこともまた、長い目で見れば重要な事なんだろうと思う。

とりあえず映画を見終わってから原作を読んでみたくなったので、帰りに本屋によって今回の元ネタ分の3巻までを買ってきてみた。まだ最初の少ししか読めていないけど、これはかなり面白いかも。一気に読み進めそう。あと、今回の映画の原案として「シュナの旅」の名前があった。どんな話だったかすっかり忘れてしまっているので、そちらももう一度読み返してみたい。