■ [本][読了]ゲド戦記Ⅰ 影との戦い 
- 作者: アーシュラ・K.ル・グウィン,ルース・ロビンス,Ursula K. Le Guin,清水真砂子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1976/09/24
- メディア: 単行本
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とりあえず買ってきた３冊のうち、一冊目を読み終えた。最初の一冊は買ってきたその日のうちに、夜中までかかって一気に読み終えてしまった。現在は２巻の半分くらいまで読み進めたところ。さすがに名作といわれるファンタジー小説だけあって、丁寧かつ緻密に構成された世界と、その中で繰り広げられる静かではあるものの味わい深い展開によって、久々に本を読んでいてその世界に引き込まれるような感覚になった。
今回読み終えた１巻は、ゲドの少年時代の話。まだ直接映画に関連するような出来事は起こっていないものの、「名前」や「魔法」にまつわるこの世界のルールなどの物語のバックグラウンドや、大賢人と呼ばれていたゲドの生い立ちを知ることで、映画に描かれていたものと描ききれなかったものへの理解は深まったように思う。
自分がどれだけの作品を作るか、それがどのような評価を受けるか、それは彼には予想できない部分があったかもしれない。しかし、何をどうやって何が起こっても「ハヤオの息子の癖にこんなもんか」と言われることは覚悟していたはずだ。
「あえて」彼はそのポジションに身を置いたのである。
そこから見ないと「ゲド戦記」の中に見落してしまうものがあると思う。
基本的に、作品というものは誰がどのように作ったのかとは無関係に評価されるものであり、そういう点において今回の映画化は作品としては失敗作であると言い切ってしまっても差し支えはなく、多くの人に酷評されるのもそれはそれで当たり前のこととして仕様の無いことではあるように思う。
それでも、この映画がどんな人間によって、どんな状況下で作られてこのような形の作品に仕上がり、それがどんなふうに世に出てどう評価されているのか、というところまで考え合わせると、個人的にはいろんな意味で昨今の宮崎駿作品以上に楽しめているような気がする。
その評価の正負はともかく「ゲド戦記」は同時期の他の映画と比べて十分過ぎるほどに大きな話題になっているし、原作もとても面白く読み進められているため、まだしばらくはこの作品そのものと、それを取り巻く環境への興味は継続しそうだ。
