2006-04-05

[][]技術屋とデザイナーの不毛な対立 技術屋とデザイナーの不毛な対立 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 技術屋とデザイナーの不毛な対立 - Nao_uの日記 技術屋とデザイナーの不毛な対立 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

とても興味深い。現実にありがちな例が列挙されている。どれもが「エンジニアとデザイナーの対立」という枠で捉えられているのがちょっと気にかかるけれど、それだけこういった事態はよく起こり得ることなんだろう。

  • エンジンが入らない自動車
    • こんな最低限の知識すら持ってないデザイナーが設計することもあるんだ・・・。怖い。
  • 薄すぎる薄型テレビ
    • 「デザインの都合でできるだけ薄くしたい」ことと、「それによって下がる性能」のトレードオフの判断は誰が行ったんだろう?どちらかというとその人の責任?
  • おかしなエルゴノミクスデザイン
    • きっと、「現実にそれを作ったらどうなるのか」ということに対する認識力も、デザイナーの能力のひとつなんだろう。
  • 「操作ボタンは全体のデザインを崩す根源」といってボタンのない家電
    • デザインの仕事といっても見てくれだけ決めればいいわけではないはず。本当に優れたデザインであれば、インターフェース面まで含めた「どんな人が、どういった場面で、どのように使うのか」まで考えてあるはずだろう。外見のデザインとインターフェースを考える人が別、ってのは効率が悪いような。


Aさん:エンジニアにとって重要なのは、納期とコストだと思うんです。つまりモノをつくる際、技術側はいかに低コスト、かつ納期を守るためにいちばん早く開発できる方法を考えながら常に作業しています。

 ですから、デザインが凝れば凝るほど時間とコストのかかる設計になり、結果として開発の最短ルートからは遠ざかることに……。そういう意味でいえば、エンジニアにとってデザイナーは、いわば最短ルートをねじ曲げる“邪魔者”なんです(笑)。

たとえエンジニア視点のみで捉えたとしても、大切なのは納期とコストそのものではなく、本当に重要なのは「最終的な製品の質」と「納期・コスト」のトレードオフだろう。ここを履き違えてただ納期内に低コストなものを作ればいい、といいはじめると何かが狂ってくるのではないか。

青木さん:エンジニアの方は常にコスト削減や納期短縮という現実的な制約を考慮する必要がありますから、必然的に「今ある技術・今ある施設や部品でできる生産能力」といった、現実的な思考の中でものごとをジャッジする方が多いと感じます。

 でもそれは時として、モノづくりの可能性を制限してしまうんじゃないかな、と思うんです。「過去の経験から生み出せるデザイン」って結局、どこかで見たことがあるようなデザインなんですよね。それって手堅いかもしれないけど大ヒットは望めないし、大きな利益も生み出せないと思うんです。

デザインに関しては「過去に存在しないこと」が重要なのではなく、「そのデザインによってどんな新しい使い方が生まれるのか」が大切なんだろう。

ウォークマンは「音楽を持ち歩く」事を可能にするためにあのようなコンパクトなデザインである必然性があったし、iPodは見た目のデザインが優れているだけでなく、ソフトウェアも含めたインターフェースのさわり心地や感触、「どういった人たちがどんな場面でどのように使うのか」まで考慮に入れた製品としてのトータルでのデザインが素晴らしかったのがここまで普及した理由だろう。

見た目の綺麗さや美しさだけではなく、「それを使う人がどんな体験をするか」まで考えてこそ、素晴らしいデザインと呼べるものができるのではないか。

自分の専門分野の枠内だけでものを考えるのではなく、デザイナーも技術的な制約について知っておく必要があるし、当然エンジニアもデザインの意義やあり方について理解しておく必要がある。結局、「エンジニアだからまず技術のことを考える」だとか、「デザイナーだから見た目を重視」なんて狭い視野で考えるのではなく、技術屋だろうがデザイナーだろうがまずは製品としてのトータルパッケージとしてどうすればより良くできるのか、という視点でモノを見て、考えていく力が必要なんだろう。その上で、それを実際に形にするときにはそれぞれの特異分野やスキルに応じて「デザイン」と「実装」に仕事を分業する、というだけのことで。

それぞれの専門分野の仕事はその人にしかできなくても、最終的にできあがった製品を使ってくれる人の満足度をより高くするためにはどうあるべきか、ということに関しては専門分野に関わらず誰にだって考えることはできるし、より良いモノを作りたいのなら、そうしていく必要がある。

互いに相手を目の仇にして対立したところで、いいことなんて一つもない。

で、きっと、これはゲーム制作のデザイナー・プランナー・プログラマに対しても、まったく同じ事が言えるのではないか、と思う。