2006-03-10

[][]電化製品の返品の半数は「操作の難しさ」が原因 電化製品の返品の半数は「操作の難しさ」が原因 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 電化製品の返品の半数は「操作の難しさ」が原因 - Nao_uの日記 電化製品の返品の半数は「操作の難しさ」が原因 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

ここ数年、MP3プレイヤーにホームシネマ、メディアセンターに無線オーディオシステムなど、数々の多目的電子製品が市場に溢れ出したが、消費者はまだまだそれらの製品をセッティングして使うのは難しいことだと感じているようだ。

彼女の調査によれば、米国の平均的な消費者は、20分間試してみて製品がきちんと動かなかったら諦めてしまうそうだ。

一般の消費者の様子を観察するために調査に同席した製品開発者たちは、 消費者の大混乱ぶりに驚かされたという。

また彼女は、家電会社フィリップスの経営陣に、週末のあいだ新製品を使うよう頼んだ。しかし彼らは製品を正しく動かすことができず、いらいらして戻ってきたそうだ。

ほとんどの場合、こうした欠陥の原因は商品開発の最初期の段階、すなわち製品定義にあるとオウデンさんは言う。

「20分間試してみて製品がきちんと動かなかったら諦めてしまう」のはさすがに早すぎるかとも思ったけれど、気持ちはわからなくもない。

最近の家電製品や携帯電話のインターフェースは非常に使いにくい。今使っている携帯も頻繁に触るのはメールとスケジュール帳くらいだけど、スケジュール設定のインターフェースは触るたびにイライラするくらいにUIが腐っている。コストや開発体制の都合でこういうところに手間をかけられない状況*1は想像できるけれど、返品の半数がインターフェースが悪いことが原因なのだとすれば、それ相応のコストをかける意味もあるのではないか、とも思う。

インターフェースを設計する人はできるだけ客観的な視点で多くのものを触ってみて、「何が良くて何がよくないのか」について誰よりも詳しくなっておく必要があるのだろう。また、UIを作るときには、その辺にいる予備知識のない人にちょっと触ってもらうだけでも簡単にインターフェースを改善することもできる。

「廊下での使い勝手テスト」とは、廊下を通る隣人を捕まえて、君が書いたばかりのコードを使ってみてもらうことだ。5人にやってもらえば、コードの中にある使い勝手の問題点を95%は知ることが出来るだろう。

優れたユーザインターフェースのデザインは、君が考えているほど難しいものではない。そして、君の製品を顧客に気に入って買ってもらいたかったら、これはきわめて重要なことだ。私のUIデザインに関するフリーのオンラインブックでプログラマ向けのUIデザインについての短い手引を読むことができる。

しかし、ユーザインターフェースについてもっとも大切なことは、手ごろな人数の人(実際のところ5人か6人で十分だ)に君のプログラムをみせることだ。そうすれば、人々がそのプログラムを使うのに難儀する一番大きな問題を、即座に見つけられるだろう。ヤコブ・ニコルセンがこのことを説明している記事を読んで欲しい。君のUIデザインの能力が今足りなかったとしても、廊下での使い勝手テストを続ける限り、無料で、君のUIは今よりずっとずっと良くなるだろう。

使いにくいインターフェースの設計者には、予備知識のない人が使い方がわからずにイライラしている様を見せるのが改善のための一番の薬であるように思う。

また、「廊下での使い勝手テスト」には繰り返しているうちに、わざわざ他人に聞かなくとも触った人がどこで躓き、何を見てどういう反応をするのかを予測できるようになってくるために、より良いUIを設計しやすくなるというメリットもある。UIの改善を日常的に行えるようになれば、境界条件時に起こる直感的でない挙動をなくしたり、ちょっとした工夫でより快適に使えるようになるようなアイデアを出すための余裕も出てきやすくなるのではないだろうか。

インターフェースは直接使う人が触れる部分だけに、優れたUI設計から生み出されるポリシーは製品全体の印象にも影響を与えるだろうから、よくできたUIは、その製品そのものだけでなくその会社やブランドのイメージすら変えてしまう力もあるのではないかとも思っている。触っているときの印象や感触は本当に大切。これは家電製品やUIに限った話ではなく、ゲームのつくりかた全般にも言えることなのだろう。ボタンを押せば反応する、という観点から見れば「ゲームの大部分はUIでできている」といっても過言ではないだろうし。

*1http://d.hatena.ne.jp/ryoko_komachi/20051208/1134085929のコメント欄より: 『ソフト技術者の立場から一言言わせてもらうと、インターフェースの抜本的改革にはそうとうな金と時間がかかります。それだけ苦労して本当に使い易いインターフェースを作ったとしても、「インターフェースが使い易い」という理由で爆発的大ヒットなんてありえませんからねえ。これでは上の人間を説得するのは難しく、大抵は「今ある者を少しずつ改善しろ。」となるんだと思います。』