2006-04-13

[][][][]ゲーム作成における理論領域・感覚領域の製作コストと気力 ゲーム作成における理論領域・感覚領域の製作コストと気力 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - ゲーム作成における理論領域・感覚領域の製作コストと気力 - Nao_uの日記 ゲーム作成における理論領域・感覚領域の製作コストと気力 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

プロトタイプを数多く作り、その中で面白そうなのだけを見繕い、厳選されたものだけをちゃんとしたゲームに仕立てていく。こうすればグソゲーを作ることもなく面白いゲームを量産することができる。すばらしい。

みたいな方法論はよく言われているんだけど、これも実際は難しいよね。特に「面白そうなのだけを見繕い」の部分が。プロトタイプとして作ったゲームって、たとえその中に光るフィーチャーが含まれていたとしても、あんまり面白くないことが多いような印象がある。ゲームってのは絵なり音なりで体験をブーストすることで初めて面白くなることが多くて、そのコア部分だけを切り出して遊んでみてもいまいちなことがある。ジオメトリウォーズからパーティクルとBGMとSEを剥いで、敵のバリエーションが3種類くらいで作ったプロトタイプとか、多分あんまり面白くなさそう。

なのでプロトタイプで遊ぶときは、そこにかっこいいエフェクトや音がのっていることを妄想しながら遊ぶという能力が必要とされる。

最近は自宅でプログラムをする際に気力が長続きしないため、土日の2日間で組めるところまで組んだ時点で面倒になってしまって、そのまま作りかけで放置する、ということを繰り返している。

作るものもインターフェースの実験や非ゲームの箱庭的プログラム、技術デモなどに逃げることが多く、もう長い間きちんとゲームとして完成したものを作ったことがない。最後にちゃんと遊べる形までゲームを仕上げたのは、どのくらい前のことになるのだろう・・・。

このところずっとそんな状態が続いているので、もう何年もエフェクトやSEを作りこむようなところまで進んだことがない。「こんなルールのゲームを作ってみたらどうなるだろう?」とごくごく基本的なプロトタイプを作ってみて、それがなんとなく動き始めた時点で見限ってしまうことが多い。

もしかしたら演出やSEを加えることでもうちょっと遊べるものになるのかもしれないけれど、どうせ大したアイデアでもないし、誰に見せるわけでもないから別にこれでいいか、などと考えて手を止めてしまう。よくない傾向だと思う。面白い、面白くないはさておき、ある程度ちゃんとした形にまで組み上げてみないとわからないことも、きっといろいろあるのだろう。そのような経験は何らかの形で自分の中に残るものだろうし。

ゲームの面白さを構成する要素にはいくつかあって、それは現在も多くの人によって考察が重ねられているのだが、自分なりの考えでこれを大雑把に分類すると以下の二つに分けられる。

言葉を換えてまとめると、「ゲームの面白さ」は

・理論領域……面白さが発生する理由をきちんと筋道立てて説明できる、意味付けされた範囲

・感覚領域……明確に意味付けできないが、主に入出力を通じてプレイヤーの意識や感覚に刺激を与える範囲

に大別できるが、両者の境界は曖昧であり、プレイヤーの習熟度等によっても変化する、ということだ。

10年くらい前には「演出部分などをすべて排除した、理論領域のみの状態まで削ってもなお面白いゲームこそが、本質的に『ゲーム性の高い』良いゲームなんだ」などと原理主義的(?)なことを考えていた時期もあったけれど、実際には感覚領域の良し悪し次第でプレイした人が感じるゲームの「面白さ」はずいぶん変わってくるために、そちらの要素も軽視するわけにはいかない。

実際にゲームを作る過程において、理論領域に関わる部分だけであれば比較的低コストで作ってテストしてみることができるけれど、ゲームの感触や気持ちよさに関わる感覚領域の部分まで作りこもうとするとずいぶんと高いコストがかかってくる。

作りかけのゲームにそのような感覚領域に関わる部分を組み込むことで、どのくらい面白く感じられるようになるのか?ということを判断するには、ある程度の経験も必要だろう。エフェクトやSEが乗ったところを妄想するには、ある程度エフェクトなどを作ってみた経験も必要になってくるだろうし。

そういった意味でも、今の自分のような状態で期限を切ってとりあえず「完成」と呼べるところまで作ってみる、という行為には何らかの意義を見出せるかもしれない。ただ、逆に、やればやるほど自分の才能のなさがイヤになる、という暗黒面もあったりもするけど。

だからこそ、フリーのゲームを発表し、作り続けている人たちは本当に凄いと思う。

まぁ、何にしてもとりあえず諦めたらそこで負けなのだろうから、何であれ手を動かし続けるしかないのだろうけど・・・。