■ [ゲーム]オンラインゲーム空間で想定外の「疫病」が猛威
ちょっと前にオンラインゲーム『ワールド・オブ・ウォークラフト』で奇妙な疫病が流行したらしい。この記事を読んだ限りではバグなのか仕様なのかはっきりしなかったけれど、詳しい解説が載っているページを見つけた。
- WoWで発生したオンラインゲームの疫病の説明(http://blogpal.seesaa.net/article/7376819.html)
これのちょっと詳しい説明をしておくと
インスタンスダンジョンのボスである
「Curse of Hakkar」が原因だった。
コレ自体は、なんというか感染力自体はたいしたことがない。
かかると3秒で回復してしまう。
勿論、263~337の間でダメージを食らうのだが、一人で
喰らう限りは、3秒で治ってしまう。
だから、プログラマーのほうも、
すぐに治って広まる事はないと思っていたのだろう。
ただ、幾つかの点が問題、プログラム事故というか、
想定外の事態がこの呪文をWoW最悪というか、
笑える事態へと広げてしまった。
どうやらバグではなくあらかじめ予定されていた仕様だったようだ。もともとは戦闘の戦略性を高めるための特殊攻撃で潜伏期間は3秒と短く、開発者側は基本的に戦闘中のみ影響が残ることを想定していたのだろう。
ここで、プログラマーの想定外の事態がおこる。
どこかの誰だかは知らないが、
この呪文に感染したまま、街にかえってしまったプレイヤーが現れた
のである。
なんどもいうが、周りに人がいなければ、3秒で完治してしまう呪文なのである。
それなのに、何故か。
それは、おそらくだが、WoWのシステムの一つであるペットのせいではないかと
思われる。
このゲームでは、プライヤーがペットというのをもつことができ、
ペット専門クラスも存在する。そして、ペットをもったまま都市に
はいることも出来る。
ここで、藁ってしまうのは、ペットにもこの呪文がかかってしまうため
ペット⇔キャラクターの無限ループが完成してしまい
3秒で病気が完治という、当初、プログラマーが意図した期間を
越えて、病気が保持される原因となった。
本来、感染力が低い病気なのだが、幾つかの要因が重なって
最大の疫病になる様はエイズを見ているようで
ネットワーク解析的にも面白い展開であった。
しかし、オンラインゲーム内で疫病が広がるというのは
史上初だったので、多分、MMO史上に残る事故となるだろう。
感染症はある閾値を越えると爆発的に増大してしまう。感染しても簡単には死なないNPCという宿主と、現代でいう飛行機に相当するテレポートの存在のために瞬く間に世界中に広がり、当局の防疫措置も間に合わずに感染が拡大してしまったようだ。まさにアウトブレイクそのもの。
仕様どおりの動作ではあるものの、それが開発者の思惑を大きく超えて世界中に災厄をもたらした、という点はとても興味深い。オンラインゲームはその世界そのものが複雑系で、ある意味人間社会の縮図のようなものであるために開発者であっても世界に対する影響を図りかねることもあるのだろうけれど、これほどまでに大事にいたったのは初めてではないだろうか。
ワクチンが配布されて収まったものの、
その間、そこいらの町に病気を持ち込んで
プレイヤーを殺しまくる高レベル病原体がいたり
「敵陣営の街に病気を持ち込んで壊滅させよう」と
本気でもくろむ輩がいたりと人間の残酷さをかいまみた出来事だった。
人間って恐ろしい・・・。
- 実際にその場に居合わせた人の話。阿鼻叫喚・・・。