2010-12-05

市販品の少ないエフェクト作成ツール 市販品の少ないエフェクト作成ツール - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 市販品の少ないエフェクト作成ツール - Nao_uの日記 市販品の少ないエフェクト作成ツール - Nao_uの日記 のブックマークコメント

ゲーム業界で使用しているツールは基本的に市販の物です。

PhotoshopIllustrator、XSIなど、そのほとんどが高価ですが誰でも購入して使用する事が出来るツールです。

しかし、エフェクト作成ツールに限っては例外で、基本的に多くのメーカーが社内ツールを使用している様です。

私もエフェクトを作成する事がありますが、やはり社内で造られた独自のツールを使用しています。

「社内ツール」=「会社の財産」な訳なので、他のメーカーの人間や一般人がそれを目にする機会はなかなかありません。

各種ハードメーカー(ゲーム機本体を開発・ライセンスしているメーカー)が提供するツールの中にエフェクトツールが含まれる場合もありますが、やはり一般に公開されている訳ではありません。

極希に「CGワールド」などのCG雑誌等でゲームと共に紹介される事もありますが、ゲームのオマケ程度の扱いなので、深く知る事が出来ないのが現状です。

昔から、エフェクト・UIといった分野はモデルやモーションのような「DCCツール上で作ったデータを実機で再現する」といった手法だけでは対応しづらい要素があるために、自社開発した独自のツールが使われることが多かった。

最近では、エフェクトと同じような独自ツールがよく使われていたUIの分野でもハードの進歩と共にある程度やりたい事ややるべきことが少しづつまとまってきつつあるために、ScaleformのようなミドルウェアなどのFlashをベースとした開発環境が使われるケースも増えてきている。

一方、エフェクトはまだ決まったやり方だけでやりたい表現を満たせるような段階には達しておらず、ゲームごとの特徴に合わせた独自の表現や発想が求められる事が多い。

どんなパラメーターをもつ計算式を使ってどうポリゴンを組んだものを表示するのかを考え、ゲーム中のライティングやモデルのシェーダーの変化と連携させた表現を工夫したり、独自のシェーダーを使った様々な特殊処理を行うなど、「どのくらいの負荷でどんな表現を行うのか」といった選択肢の幅が広いため、実装を行うときの自由度の高さも、非常に大きい。

また、そのようなデータを効率的に作るためのツールのインターフェースの整備や、実際のゲーム中のモデル・モーションやカットシーンなどと連携した作業環境を整えるなど、いかに作り易く、最終的な実行結果を参照しながら試行錯誤を行いやすい作業フローを構築していくか、という部分にも工夫の余地はたくさんある。

このあたりは標準的なやり方があるわけではないので、同じエフェクトの製作であっても、DCCツールベースの開発環境や実機ツール中心の作業環境、ミドルウェアを導入する、など、各社ごとに状況に合わせたさまざまなやり方が取られているのだろうと思う。

こういった実情を外から知ろうとしても、CGワールドの特集記事の小さなスクリーンショットなどから断片的に読み取れる情報くらいしか情報源がない、というのが現状となってしまっている。

それぞれのやり方を知ることで互いに参考になる部分もたくさんあるはずなので、今後はCEDECやWeb上などのいろいろな場所でこのような閉じられていた開発情報が共有され、それをもとに業界全体でさらなる開発の効率化や、もっと遊んでくれる人を楽しませ、驚かせられるような表現の追求ができるようになっていくといいなぁ、と思う。