2009-12-12

[]Call of DutyModern Warfare 2 Call of Duty:Modern Warfare 2 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - Call of Duty:Modern Warfare 2 - Nao_uの日記 Call of Duty:Modern Warfare 2 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

FPS未体験の人間にいきなりこれを遊ばせるのは、ゲーム慣れしてない人に一発食らうと死ぬまで空中コンボでどつきまわされるタイプの格ゲーの対戦をやらせるのと似てるんじゃないか、思えるくらいに自分の置かれてる状況の把握が困難になるほどの迫力と臨場感。

発売時期を考えると前作もそうだったかもしれないけど、これは日本で広く受け入れてもらうにはちょっときつい内容なんではないかなぁ、とも思う。ジャンルが発展し、シリーズが進むにつれて「より強い刺激を」と繰り返しているうちに畸形的なほどに独特の進化を遂げているのが現代FPSなんじゃないか、みたいな極端なことを考えてしまった。

前作を遊んでるときにもなんとなく「CoDのお約束」のようなものがあるのかな?みたいに感じながら遊んでたのだけど、今回はゲーム序盤の慣れないうちは特に、非常によく作りこまれた映像や場面設定のリアルさと、そのような「お約束」との乖離による違和感を感じる部分もあった。

これだけ映像や音響・シチュエーションが現実的になってくると、市街地での激しい銃撃戦なのに、角を曲がるまでその場で立ち尽くし、同じ場所で立ったり座ったりを延々と繰り返して、周囲を囲んでてもこちらが狙うまではしばらく狙いを外して待ってくれる親切で非人間的な敵たちや、誰もいなくなるまで皆殺しにしたあとに次のイベントラインを踏むとまた一斉に襲い掛かってくるようなアトラクション感には、微妙な違和感を感じた。


また、リアルな映像と大迫力の音響の効果で、脳が「死ぬのは怖い」と銃弾の飛び交う場所に飛び出すのを拒否しようとするにもかかわらず、ゲームの「お約束」は死を恐れずに突っ込むことを要求してくる。この乖離が気持ち悪い。あんな激しい銃撃の中に出て行くのは嫌だし、死ぬのはもっと嫌。怖い。*1

でも、ゲームの映像から受けている自分の感覚と比較するとかなり無謀な突撃を行わないと事態が打開できない場面が多い。

ゲームシステムは危険が伴うそのような突撃を肯定してくれるし、リトライの速さから生まれる快適さは、自分の「死」と引き換えのトライアンドエラーさえも容易に感じさせてくれる。

大量に湧いてくる敵と同列以上に、自分自身の命も軽い。それでも、このゲームの臨場感から感じる命の重さはマリオの「一機」よりもずっと大きい、はず。

考えてみればそもそもリアルな世界を再現しようとしているのに、「RPGの直撃を食らっても生きていて、何発弾丸を受けようが数秒隠れていたら回復する」みたいなシステムが当たり前に受け入れられているのは、「ありえない大きさの剣を振り回し、順番が来るまでは棒立ちで待ってるJRPGの主人公」と同レベルに不自然ではある気はする。

でも、そんな不自然なシステムであるからこそ、このゲームは快適に遊べる。

銃弾を受けてもほんの少し時間を置くだけですぐ戦えるようになるし、もし死んでしまったとしてもロード時間もなく一瞬でリトライ可能。リトライ間隔も短く、ほとんどの人が同じくらいの時間をかければ気持ちよくゲームがクリアできる。「現実感」と「ゲーム」の乖離。



でもまぁそんなくだらないことが気になってたのもゲーム開始直後で不慣れな状態だったり、低難度で相手が手加減してくれてたから特にそのように感じていた間だけであって、2~3時間もすればいろいろ慣れてくるし、演出的にも内容的にも素晴らしく仕上がっていたゲーム終盤を終えて2週目をベテラン難度で遊ぶ頃には、激しい戦闘の最中に敵のセットや動きがどう、なんて気になる余裕もないような状態になっていた。

「こんな状況にいたら絶対死ぬ」と思えるような時期を越えるといろんな感覚が麻痺してくる。あれほど「殺されるのが怖い」「人を撃つのも怖い」と感じていた最初の頃の印象から考えると、数時間ゲームを遊んだだけなのにこんなに感じ方が変わるものなんだなぁ、という心理の変化は、思い返してみるとそれはそれでちょっと怖い。むしろこんなのが何百万本も売れてしまうのはある意味異常なんではないか、という見方もできなくはないような気はする。

映像とゲームの乖離が進むJRPGと違って、FPS/TPSはいまだに映像面の進化をそのままゲームの没入感の向上や面白さにつなげることができているジャンルだけに、この先どうなっていくのか、次の世代のゲーム機になると映像表現はさらにリアルに見えるように進み、表現できる世界の幅や深さもさらに増すことができるようになっていくのだろうけど、FPSというジャンルはそのような環境のなかでどこを目指し、その先に何を見出していくのか、がとても気になる。

*1セガサターンを買った当時に、うちの母に『デイトナUSA』を遊ばせたら「スピードを出すのが怖い」と言ってずっと安全運転してたときの心境が、少し理解できたような気がする