2006-11-04

多品種・小ロット織物システム「アレンジワインダー」 多品種・小ロット織物システム「アレンジワインダー」 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 多品種・小ロット織物システム「アレンジワインダー」 - Nao_uの日記 多品種・小ロット織物システム「アレンジワインダー」 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

「第一回ものづくり日本大賞」で内閣総理大臣賞を受賞した、織物作成システム。

安い人件費に支えられて拡大を続ける中国製の織物に対抗するために、兵庫県西脇市の繊維機械業者たちが中心となって作った、多品種小ロット生産に対応した画期的なシステムだそうだ。

昨日のトヨタ産業技術記念館の展示で自動織機を見たときに思った、「あの大量に張られている縦糸は、いったいどうやってセットするんだろう?」という疑問について検索しているときに発見。

従来の織物生産の工程では、縦糸の色柄が変わるたびに、基本的に手作業で5000~1万本の糸を準備する必要があった。大変な手間と時間を要し、たとえば20着でも2000着でも、それに費やすエネルギーはほとんど変わらない。このため、近年ニーズが高まっている多品種小ロット生産を行ううえで、大きなネックとなっていた。機械商社である片山商店が、京都工芸繊維大学兵庫県立工業技術センター、村田機械、それに地元企業と共同で「内閣総理大臣賞」を受賞した世界初の織物生産システムが、その問題を解決した。最高9色を任意の長さでつないだ縦糸をつくることができ、糸の交換作業を行わずに、色柄の違う織物を同時に織ることを可能にしたものだ。生産コストは39~81%もダウン、原材料のロスも大幅に減った。

通常はあれだけの量の糸をほぼ手作業で準備してたのか・・・。確かにこの部分を自動化できれば、小ロット生産時には大幅な省力化になりそう。

また、このページの動画の解説も興味深い。

「昔は、同じものを安く大量に作って売ればビジネスになっていた。

今は、高級品を多品種小ロットで、なおかつ低コストでやらないと成り立たない。

こういった時代のニーズに合った生産システムが必要になる。」

なんというかこう、職人芸だけでは生き残れないし、単純な大量生産と比べても質やコスト面で一歩も二歩も上を行く手段を考えなくてはならない、という点に関しては他人事とは思いにくい。

テスト段階では、地域の工場に「無理なお願い」もした。複雑な作業に「もう付き合いきれん!」と怒鳴られたことも。そんな時、片山さんが言い続けたのは「自分たちの力で、この産地を次の世代に残しましょうよ」という一言。

「徐々にこのスローガンに共感が広がり、 むしろいろんな知恵をいただくことができました。今回の受賞者以外に地元の20社、70人以上の人たちに協力を仰いだんですよ」

 努力のかいあって03年、世界に例のない画期的な織物生産システム「アレンジワインダー」が完成。「ようやく、かたちにできた」とホッとした片山さんだったが、今度は予期せぬ天災に襲われる。翌年10月、近畿地方台風23号が直撃、会社の事務所には胸のあたりまで浸かるほどの濁流が流れ込んだ。社員と一緒に避難した2階の部屋で、一度は「会社もあの機械も、これで終わりだと観念した」。

 水が引いてみると、惨状は目を覆わんばかり。床や壁、そして苦難の末につくり上げた“実用第1号機”も、大量の泥にまみれていた。通常なら間違いなくスクラップのそれはしかし、3カ月後にはピカピカになって帰ってきた。製作したメーカーの社員たちが、徹底的な分解掃除を施してくれたのだ。毎日、勤務時間外にである。

「自分たちが世界で初めてつくった機械なのだという愛着、誇りを感じましたね。こういう、ものづくりのプロに支えられたからできたんだなあと、改めて思いました」

ものづくりを支えるのは現場の人間の力と情熱。

 今、片山さんが注目するのは「究極の小ロット」である、サンプル(試織)の受注。

「アレンジワインダーを使って、“中国並みのコストで納期半分、品質2倍”のものをつくれば、世界の織物のサンプルが日本に集まる。最新情報を手にできるわけです」

 衰退のらく印を押された、日本の繊維産業。産地の知恵を結集したメカを武器に、その反撃が始まった。

変わり続ける状況に対して、戦い方はいろいろ。