■ 左利きの人の割合
仕事中に用があって他の人のマシンを使わせてもらおうとしたら、使用者が左利きのためにマウスがキーボードの左に置いてあって困ることがある。一緒に仕事をするデザイナーの人たちには、なぜか左利きの人の割合が有意に多い。利き手と絵を描く能力には何か関係があるのだろうか?
文字を書くにしても道具を使うにしても左利きよりは右利きのほうが有利なはずなので、進化論的には左利きの人の割合は減っていってもおかしくないはずなのに、左利きは世界中のいつの時代のどの民族でもだいたい10人に1人くらいの割合でいるそうだ。少なくとも旧石器時代には、既に右利きが大多数を占めていたことが石器の作られ方からわかっているらしい。
利き手はおおむね遺伝的な要因で決まっているのだろうから、もし左利きの人の割合がずっと昔から変わっていないのだとしたら、精神分裂症の人の割合*1と同じように人類が各人種に枝分かれするずっと前の時点で固定され、遺伝や淘汰圧の絶妙なバランスで現在まで続いてきたのだろう。歴史的な偉人には左利きが多いそうなので、左利きには何か目に見えない有利な点があったりするのかもしれない。
■ 魚の右利き左利き
魚の「利き」は、道具を使う手のことではありません。
口を開いたときに、下顎がまっすぐ下に開くのではなく、
必ず右か左に曲がって開きます。
これは、下顎の付根の位置が、左右でずれているからです。
右の付根が前側・外側・腹側にあるため、口が左に曲がって開くのが「右利き」。
左の付根が前側・外側・腹側にあるため、口が右に曲がって開くのが「左利き」。
右利きの魚食魚の胃の中からは左利きの魚が、左利きの魚食魚からは右利きの魚が多く発見されています。
このことから、魚食魚は自分とは逆の利きを多く食べていると考えられています。
- 利きは遺伝する
右利き同士の両親からは、右利きの子しか生まれません。
両親が左利き同士の場合と左利きと右利きの場合は、ある一定の比率で左利きも右利きも生まれます。
このことから、利きはメンデル遺伝するのではないかと考えられています。
- 利きを通した、食うものと食われるものの関係
食うもの(捕食者)に左利きが多かった場合、右利きの食われるもの(被食者)は減りますから、次の世代には被食者では
右利きはとても少なくなります。
すると捕食者では、右利きの被食者を食べる左利きが増えます。だから左利きの被食者が減って・・・
これが繰り返されて、自然界では右利きが多いときと、左利きが多いときが交互に見られると考えられます。
魚にも右利き・左利きがあるようだ。自分と違う向きの相手の方が捕食しやすいのは何故なんだろう?