2005-10-24

効率的な睡眠のとり方 効率的な睡眠のとり方 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 効率的な睡眠のとり方 - Nao_uの日記 効率的な睡眠のとり方 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

Stampi 氏は 1990 年にある実験を行った。1日あたり3時間の睡眠を数ヶ月間続けた場合に,人間の知的能力がどの程度低下するかという実験だ。この実験では,被験者は3つのグループに分けられた。1つ目のグループは3時間の睡眠を一度に摂り(モノフェーズ睡眠),2つ目のグループは90分の睡眠を1回と30分の睡眠を3回に分けて摂った(分割睡眠)。そして3つ目のグループは,4時間毎に30分の睡眠を摂るという,完全なポリフェーズ睡眠を実践した。

数ヵ月後の能力テストでは3グループ共に能力の低下が見られた。ただし,低下の量はグループによって多少の差がある。1つ目のモノフェーズ睡眠グループでは 30% の低下が見られ,2つ目の分割睡眠グループでは 25% の低下が見られた。そして3つ目のポリフェーズ睡眠グループでは,驚くべきことに 12% の低下しか見られなかったということだ。

自分はだいたい一日に8時間程度の睡眠が必要で、休日には10時間以上寝ていることも珍しくない。これを下回る日が続くと起きている間の時間の使用効率が極端に落ちてしまう典型的な長時間睡眠体質で、小学生の頃からずっと変わらない。

知り合いにも「一日3時間の睡眠で十分」とかいう人もいたりするけれど、こんな話を聞くたびに短時間睡眠の人が羨ましくなる。学生の頃はともかく、就職してからは夜10時に帰宅したとして12時に寝ないといけないか3時まで起きていられるかで自由に使える時間が数倍のオーダーで変わってしまう。いままでもに何回か、もっと効果的な睡眠をとって寝ている時間を減らすことができないかと試みたことはあるけれど、うまくいったことはない。

「ポリフェーズ睡眠」は睡眠時間を効果的に減らす方法として有名だけど、これもいいことばかりではないようだ。長期間の実行後の能力低下が「少ない」だけであって、低下しないわけではない。一時的な活動時間は延ばせたとしても、知的作業の効率が上がるとは限らない。

数年前、仕事の締め切り間際の数ヶ月の間ずっと修羅場が続いたことがあり、そのときには異常にテンションが上がって一日3~4時間程度の睡眠で十分に活動できていた。一ヶ月以上その睡眠時間が続いても大丈夫だったので自分の体質が変わったのかと期待したけれど、忙しい期間が終わると簡単に元に戻ってしまった。また、後から考えるとその期間は単純作業に近い大量の仕事は問題なくこなせていたけれど、独創的なアイデア出しや複雑な判断の絡む設計などの仕事が効率的にできる状態だったとは思えない。

もう一つの弱点は,知的労働における生産性への影響は量られていないということだ。ポリフェーズ睡眠はヨットセイラーや兵隊が必要とする体力と精神力を回復させてくれるかもしれない。しかし,例えばエンジニアなどのように高度な思考と集中力が必要とされる職種において十分な回復を得られる保証は無い。特にレム睡眠が削られることによる知的能力への影響は,容易には量りかねる部分がある。

仮にポリフェーズ睡眠が長期的に続けられて活動時間が延びたとしても、それが有効に作用するとは限らない。伸びた活動時間で本をたくさん読むことができたとしてもそれが身につくとは限らないし、時間のかかるRPGMMORPGを延々と遊びつづけられるようになったとして、それが本当に効果的な時間の使い方なのか、などと考えると今のままでもいいような気もしてくる。

また、レム睡眠と知的作業の関係も興味深い。数年前に気づいたのだけど、自分は頻繁に夢を見る時期とそうでない時期が数ヶ月単位で周期的にやってきて、それが脳の調子の良し悪しの周期とリンクしているような気がしてならない。一度、長期的な記録を取って確かめてみるのも面白いかもしれない。

あと40年くらい生きていられると仮定すれば、自分にはあと約34万5千時間の時間が残されていることになる。そのうち約1/3の10万時間ほどは睡眠に当てるとして、睡眠時間を削ることを考えるよりも、起きている20万時間をいかに有効に使うかを考えた方が建設的かもしれない。よくよく考えてみれば、起きていてもぼーっと無為に過ごしている時間も結構長いし。

先週末の土曜は自転車で休日出勤したら夜になってから雨が降りはじめて帰れなくなってしまった。仕方がないので会社に泊まって日曜もそのまま夕方まで仕事していたために、今日はものすごく眠い。眠いときには素直に寝たほうがいい。寝ずに仕事をしないといけないような状況にならないためにも。