2005-08-14

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2年ほど前にたまたま本屋で手にとって、面白そうだったので購入した本。

著者の大平貴之氏が個人製作でプラネタリウムを作った、という話。

プラネタリウムを作りました。―7畳間で生まれた410万の星

プラネタリウムを作りました。―7畳間で生まれた410万の星

平氏は、小学生の頃に壁に蛍光塗料で塗った星を貼り付けて作ったプラネタリウムから始まって、高校時代にピンホール式の六千個の星を投影できるプラネタリウムを作成し、大学に入ってからはアマチュアでは例のない直径5mのドームに星空を映し出せるレンズ投影方式のプラネタリウムを完成させた。

星を投影するための原板の作成や、本体の基本設計などを試行錯誤を繰り返しながら手探りで準備し、必要なレンズ系の光線追跡や座標変換のためにプログラミングを覚えたり、電子工作や電気技術を学んでコンピュータ制御で原板の星を自動でプロットするための装置まで製作したそうだ。空気で膨らませる星空投影のための直径6mのエアドームも自作したりと、プラネタリウムの作成にはさまざまな苦労があったようだ。

最終的には天の川の星をすべて原板に点として描き込むという常識はずれの新方式を採用し、プラネタリウムとしては前代未聞の100万個もの星を投影できる「メガスター」を製作してロンドンで行われた国際プラネタリウム協会の大会に出展したそうだ。

普通のプラネタリウムで投影できる星の数は業務用のものでも数千個から1万個程度、星の数の多さをうたう最上位機種でもせいぜい2~3万個程度なので、桁違いの投影数が実現されている。100万個を超える星が投影できる「メガスター」では、天の川も本物同様の濃淡が表現されていて、暗黒星雲のディティールや星空の奥行きまでもが再現できるそうだ。そんな桁外れの性能をもつにもかかわらず、その機能が直径約50cm、重量30Kg程度の一人で持ち運べる程度の大きさの球体に収まっている。個人製作でありながら投影する星の数においては世界一の性能を誇るメガスターは、大会でも絶賛の嵐だったようだ。

個人製作のために材料の調達から技術的な問題までなにもかもをゼロから準備して一人で解決しなくてはならないなど、生半可な努力では実現できないような大仕事を途方もない情熱と失敗を恐れないチャレンジ精神で成し遂げていく様子には感動を覚えた。小さなことからコツコツと、時間と労力を注ぎ込んで何かを成し遂げるのは本当に素晴らしい事だと思う。

この本の結びではさらなるリアリティを求めて25m級の大型ドームに対応し、410万個の星が投影できる「メガスターII」を製作中だ、という話で締めくくられている。完成した「メガスターII」は、川崎市青少年科学館と、お台場の日本科学未来館で常設公開されているそうだ。機会があれば見に行ってみたい。

8月26日には、「プラネタリウムを作りました」をもとに米ディズニーとフジテレビの共同制作でテレビドラマ化されたものが「星に願いを」というタイトルで放映されるようだ。こちらもチェックしておきたい。

http://www.megastar-net.com/news/news050622.html

自分がどんなものを作りたいのか。物作りの要となるのは技術の力ではなく、

自らが目指すものを明確にイメージする力なのではないか。

      毛利 衛(宇宙飛行士)「プラネタリウムを作りました」解説より