■ 猫手企画@新聞屋 : HD DVD敗北
その昔佐賀の中央通りに小さなソニーショップがありました。
折しもハイビジョンハンディカムが出たての頃、たまたま飲んだ帰りで朝方ふらっと入った事がありました。顔を洗わせてもらいに店の裏に行くと、まだしっかり動くベータやオープンデッキが数十台もあります。おっちゃん曰く「メーカーは製品を作るだけだが、小売りはお客さんに商品を売った責任があるから、最後までお客さんをサポートする義務がある」と。「昔の8ミリが見つかったので、ベータにダビングしてくれ」とか、「そのベータが壊れたのでDVDに」とか、メーカーの都合で規格に振り回されるお客さんのサポートを、損得なしでやっていました。あまりに目に余る時にはソニー本社に乗り込んでいって役員に文句を言ったりもしたのだとか。その顧客本意の徹底ぶりに感心するやら、頭が下がるやら。
そんな小さくもまじめな小売り店は時代の流れとともに数年前に店を畳み、「賢い」消費者は大型電気店でチラシをぶつけあい、新製品を原価ギリギリで買う事に血道を上げます。でもそれが本当に安心できる生活なんでしょうか。