■ 尊敬するゲームディレクターの話
彼はとにかく「コスト管理と対価効果」の見極めが非常に上手い人でした。
例えば、ゲーム内の背景モデルの見積もりをデザイナーが当然のように検討しているところにひょいと表れて「なあ、このゲーム、背景モデルいらなくねえ?」と(W.何を言い出すんだこの人は!と一瞬思いましたが「このゲームでは視点がぐるぐる変わらなきゃいけないようなシチュエーションはほとんどない。だったら、そのためにモデラーを半年以上、5人も拘束するのは馬鹿馬鹿しい。だから、必要な場所以外はアニメーションの背景スタジオに2Dでお願いした方が早いし、いいものが出来る
これが見事に正解。おまけに2D独特の味わいも出て、しかもアクセスも早いという、イイコト尽くめの結果でした。
しかし、だからこのディレクターが単なるコストカットの鬼か?というとそうじゃなくて、このゲームの売りになる部分に関しては上記で出た余裕を全て投入するという、戦力の集中が非常に上手い人だった訳です。
また、こういう余裕がある仕事だと、スタッフ側からも「もっとこうしよう」というような余裕も出てくるもので。いつもスケジュールがギリギリの状態だと自分の仕事に手一杯になりがちなだけに、いろんな遊び心を入れられたり。
そのディレクターの口癖「俺らは楽しいもの作ってるんだから、作っている側が死んだような目でいいものが作れる訳がない」