■ 小島監督、神谷英樹氏も登場! ドキッ! クリエーターだらけの“MIDNIGHT LIVE 360”年末スペシャル
井上氏が新たに明かしたのは、Infinity Wardがギリギリまであらゆる面で修正・変更を行っていたということ。もちろんローカライズはその煽りを受け続ける。なんとローディング画面のムービーにいたっては、ほぼ最後まで完成映像を見ることができなかったらしい。そして、ローカライズとQA(品質保証。ゲームが発売可能な状態にあるかチェックする行程)も、現地(ロサンゼルス)での作業が指定されていたという。
■ ゲーム翻訳プロジェクトのリスク特定は大事
こんだけ不確定要素があると、最初に実施したのリスク分析と実際の業務内容/作業負荷が乖離してしまいます。
そして一番デカいのは、「作っているもののコア (ゲームの原語オリジナル) が外で開発されているもの」であり、「開発会社にしか分からないこと、開発会社にすら分からないこと」が沢山あるということです。
つまり「自分の勉強不足」ではない理由で、プロジェクトが失敗する可能性があるのです。
■ No Russian の件
製品版を遊んでいて誤訳を見つけるとなんでこんなことが分からないんだと思うのですが、絵も説明も筋も頼れるガイドもいない状態で翻訳していたら間違いがない方がおかしいです。
ゲームの言語的テスト環境を翻訳会社が持つのは難しいし、そもそも発売前のゲームならば色々と守秘義務もあると思います。でも言語的テストは必須です。訳文が本当にゲームに溶け込んでいくのはここだからです。翻訳と校正さえしっかりしていれば大丈夫なはず、それができないのは翻訳者の怠慢だ、というのはある程度までは真実ですが、それがすべてではありません。本当にスマートな人たちが血と汗を注いで作ったインタラクティブアート作品を、インタラクティブじゃない環境で100%の仕上がりにできるはずがありませんから。
バグトラッキングシステム (BTS) のアクセス権を外部の人間に付与できないとか、BTS の使用法トレーニングなんかやってらんないとか、時間と人的リソースの不足とか、そりゃあもう問題はアホほどあると思います。でも言語的テスティングの優先順位は予算をケチられるほど低くないはずです。
プロジェクトのお財布を握る方へ: 本当にお願いします。実機で言語的テストしないならローカライズなんかしないでください。それはウンコちゃんしか生み出しません。言語的テスティングの時間も予算も割けないならばそれは採算が取れないプロジェクトなので始めない方が良いと LYE は強く思います。