2006-09-18

[][]GOD HAND その2 GOD HAND その2 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - GOD HAND その2 - Nao_uの日記 GOD HAND その2 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

昨日丸一日かけてクリアした。クリア後には何もせずにそのまま寝たくなるほどに疲れたけれど、第一印象からの予想をはるかに上回るくらいに作りこまれていて、ものすごく面白かった。セーブ間隔が短いのもとても良く、逆に止め時を見失う。遊んでいてテンションが上がるようなゲームはひさしぶり。

単に目が慣れてきたのもあるだろうけど、後半にいくに連れてグラフィックの質も上がり、想像以上に敵のバリエーションも多くてそれぞれがきっちりと差別化されている。敵配置やマップ構成の工夫でエリアごとに攻略を考えていく必要があり、どんどん増えていく技や連携の組み合わせで、最後までダレることなく一気にプレイできた。

最近ゲームを遊んでいるときに開始数時間後かゲーム中盤に到達したあたりで、「このゲームはあとはコレを延々と繰り返すだけで終わるな」と勝手に見切ってしまって飽きて止めてしまうことが多くなった。特に洋ゲーはその傾向が顕著で、『メダルオブオナー』のノルマンディー上陸シーンなど、まず一番初めに見せたい面白さを最大限に生かせるようなネタを持ってくるため、竜頭蛇尾で途中でネタ切れを起こし、後半は失速して消化試合のような展開になってしまうものも多い。

商品としての売りやすさやわかりやすさを考えればそちらの方が良いのかもしれないし、見てくれる人の少ないゲーム後半に大きな労力を注ぐのは無意味と考えるなら、力の入れどころ・抜きどころとしてそれはそれで正しい部分もあるのかもしれない。それでも、あまりに極端にそういうことを繰り返していると、いつかマズい事になるような気がしてならない。なにか別方向の工夫が必要だろう。

GOD HAND』に話を戻すと、このゲームはそれらと全く逆のパターンであるように思う。序盤は使える技のバリエーションも少なく、基本的には「一対一で戦い、敵にガードされたらガード崩し技を当ててから反撃」というこのゲームの攻略の基礎を体に叩き込むような作りになっている。とにもかくにも、まずはこれを体で覚えて反射的に出せるようになるのがこのゲームを楽しむための第一歩となるが、「第一歩」にしてはそれなりに敷居が高く、ここを超えられるかどうかはこのゲームを楽しめるかどうかの分水嶺になることもあるようだ。ガード崩し技のヒット後には大ダメージが入るコンボを入れられるので狙って決められるようになると気持ちよく、慣れてくるとむしろガードしてくれた方がありがたい場面もあったりする。

このような基本を覚えた後、プレイが進むにつれて敵のレベルが上がったとき*1に、囲まれてタコ殴りにされないような位置取りや、右スティックを使ったスウェー&ステップ、吹き飛ばし攻撃を使って敵の位置をコントロールのするなどのテクニックを順に身につけていくことになる。

ゲームを進めるにつれて、コンボに組み込める技の数や種類が増えてきて、テクニックの上達に合わせて自分の行動の自由度が上がってくる。多数の技の中から攻撃力・判定発生までの速度や隙、全回転・半回転などの攻撃範囲や属性を考慮しつつ、コンボや連携を組み立てていくのがとても楽しい。

また、ゲームに慣れてきた序盤の終わりあたりから買えるようになる、「ガード崩し」属性を持つ技をコンボの適切な場所に組み込んでおくことで、開始直後に難度を上げていた「敵がガードしたら反射的にガード崩しを入れないといけない」という要素がかなり軽減されるため、プレイ感覚が大きく変わってくる。それによって中盤以降は敵との一対一の攻防のウェイトは下がり、多数を相手にしたときの位置取りや、ゴッドハンド解放・ゴッドリール使用のタイミング調整などの違った方向の重要度が増してきて、使う技や行動もそれに合わせて変化してくる。

終盤になると「片手倒立脚」「酔手右拳」などの発生は遅いものの敵に回避されにくかったり、上段攻撃回避などの特殊属性を持つ中国拳法系の技が手に入るようになり、これまでの技とは違った使い勝手や、拳法系の動きの華麗さもあってコンボ構築や攻略がさらに楽しくなってくる。

プレイしていて、『くにおくんの時代劇(お金を貯めて多彩な技を購入)』『ケルナグール(豊富な技を得て連携を組み立て)』などの昔のゲームを思い起こすような感覚もあり、時々出現する悪魔からランダムで得られる技の収集は『地球防衛軍』の武器集めと似たような感触も。こういった購入・成長要素と、バリエーション豊かな敵や地形、リニアではなく少しづつ形を変えながら違う方向に上がっていく難度が上手く噛みあって、最後まで飽きさせないプレイ感覚を形作っていた。こういった絶妙な調整技法は未だ海外ゲームの苦手とするところであるように思う。

中盤の終わりくらいまではそれなりにスムーズに進めたものの、最終戦近辺の数エリアの難度は思わずコントローラーを投げつけたくなるほどだったけれど、終わってみてエンディングの歌を聴いた後には、もはやそれもいい思い出になっていた。久々に「やってよかった、最後までクリアしてよかった」と思えるゲームだった。2週目も少しづつ進めているが、あきらかに自分の腕が上がっているのが実感できるのはとても嬉しい。ハードモードは難しすぎて最初のセーブポイントにたどり着くことすらできなかったけど。


とりあえず、このようなゲームがファミ通クロスレビューでは6とか7しかつかず、レビューにも本当にファーストインプレッション的な内容しか書かれていなかったのは個人的に納得がいかない。もちろん、尖った部分と欠けた部分が極端で、悪い評価がついてしまうのも仕方がないような側面が多々あるにしても、ちゃんとこのゲームを見ているなら、何かもっと違った表現もあったのではないか。少なくともあれは、ゲームの紹介と評価を生業とする人間の仕事ではない。

以前はクロスレビューにはそれほどは悪い印象ももっていなかったし、少なくとも予想外に悪い評価がついたときにはそれなりに信頼できるように思っていたけれど、この前直接に聞いたここには書きにくい類の話とも合わせて考えると、さすがに「1点百万円」なんて話は無いにしても、奴らはいい評価も悪い評価も本当にろくに遊びもせずに政治的要素と気分だけで適当に評価している、ということはよくわかった。

昔から頻繁に問題視される類の話題ではあるものの、自分もあの数字を見たときには『GOD HAND』が作りの甘い適当なゲームなのではないかと疑ってしまったこともあって、その影響や他紙との評価差も含めて考えると、この点数と感想に関してはやはり疑問に思う。そもそも遊ぶ人を選ぶようなゲームを一軸の数値で評価することが難しいという面もあるのだろうけれど、それをフォローするために4人のレビュワーがいて、それぞれにコメント欄が用意されているのだろうから。

とはいっても特に序盤で作りの荒い部分も目立つし、システムや難度も含めて今どきこのようなゲームを楽しめる人が限られそうな特殊なゲームではあるけれど、最後まで遊んでみての感想として、少なくともゲームとして重要な部分に関しては妥協なくとてもよく作りこんで練られた、素晴らしいゲームであることは間違いないと思う。今でもあの能天気なBGMが頭から離れない。

*1:このゲームは、ダメージを食らわず、敵の攻撃を華麗に避けるなどの上手いプレイを続けると、敵のレベルが上がって相手の思考ルーチンが強化され、「同時に攻撃してくる敵の数が増える」「こちらの攻撃を避けるようになる」などのアルゴリズムが変化する。画面には「LEVEL UP!」と表示されるけど、プレイヤーが強くなるわけではない。レベルMAXまで上がると本当に簡単に死ねるが、高レベルを維持できればステージクリア後のボーナス金額が大幅にアップする。こちらがたくさんダメージを受けるか、ゲージを一つ消費して「ゴッド土下座」を繰り出して謝ることで、敵のレベルが下げられる。