■ 文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの
- 文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)
モアイ巨石像で知られるイースター島。かつてモアイ像は住民同士の宗教戦争によって、すべて倒され破壊されていた。現在、立って並んでいるモアイ像は現代になってから、復元されたものだけである。今のイースター島には樹木がないが、かつては森林に覆われていたという。樹木を一本残らず切り倒したのも、今は亡き住民たちであった。
イースター島は他の太平洋諸島から距離的に遠く孤立している。資源は不足気味な土地であったが、人々は懸命に生き独自の文化と宗教を育てていた。崩壊の原因はむしろ繁栄したこと自体にあった。増えた人口を養うために樹木が切り倒され、動物種を絶滅に追い込んでしまった。文化的であるがゆえにモアイのような、膨大なコストのかかる建造物をつくることに夢中になった。
外部からの資源の流入が期待できない島で。それは少しずつ進んだが、知らないうちに、自然の再生能力を人間の消費量が超えてしまっていた。彼らは自然から再生能力そのものを奪ってしまった。
次第に苦しくなる生活の中で、人々は希少な資源をめぐり争った。戦争は狭い島を一層荒廃させ、モアイ像をはじめとする文化も破壊した。この文明の晩年は激しい戦争と人肉食に及んだ飢餓に悩まされたらしい。ついにすべての住民が島から姿を消した。
- 文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)
社会が破滅的な決断を下すのはなぜか?。イースター島の最後の一本のヤシの木を切り倒した住民は何を考えていたのか?彼らは利益に眼がくらんでいたのか、それともまったく無知だったのか?。
著者は「這い進む常態」「風景健忘症」を破滅的決断の原因として挙げている。這い進む常態とは、正常性の基準が、感知できないほどゆっくりと下降する状態を指す。樹木は昨年より僅かに減っているが、異常ではないという判断を何十年も繰り返した結果、最後の一本になってしまうということだ。風景健忘症とは、ゆるやかな下降の中で、50年前はどうだったかを、人々が忘れてしまうことを指す。
恐らく最後の一本のヤシの木が切り倒されたとき、木材はほとんど使われていなかったのだから、ヤシの木は経済的価値がほとんどなかった。だから、誰も気にしなかった可能性がある。地球温暖化でゆでがえるになりそうな現代人と似た状況だったかもしれないと示唆がある。
なんだかいろいろと考えさせられるような。ゆっくりと変わっていく風景の中では、変化を変化として認識できない。じわじわと上がってゆく水温のなかで、「まだ大丈夫」と思って鍋の中から動かない蛙は、いずれ茹でられて死ぬ。個人的なことから会社や業界、世界環境レベルに至るまで、規模の差はあれども何事も同じような問題を抱えているのかもしれない。
■ 粗利率と業界の存続
パチンコの粗利率は、ボッタクリホールと言われるところでさえ、20%~25%位で、通常で15%くらいで、優良店になると8%~12%くらいの粗利率だ。これがどれだけ凄いかは、競馬を見ればわかるだろう。競馬に関しては、一律25%の粗利が自動的に吸い上げられている。パチンコホールの経営からみると、競馬の粗利率は、ボッタクリホールと同等なのだ。
ここでプチ自慢をすれば、私の経営するホールでは、粗利率を、ほぼ8%に設定している。日々の微妙な設定配分や釘調整で、収益を出すが、10%~15%くらいに達するときもある。そのときは、10%以下になるまで、特別イベントを組み放出する。私が、ホール経営以外にも様々な事業を行うベンチャー企業の社長であることは、皆さんもご存知のとおりだが、事ホール経営に関しては、いまだ素人同然であると思っている。だからこそ、利益を捻出するのはまだ早いと考えているのだ。つまり8%の粗利とは、家賃・人件費・諸々の費用を支払う上での最低ライン、つまりトントンと言うことだ。ただし、稼動が下がると同じ8%でも粗利額は下がるので、赤字になる。だからといって、粗利率を高めに設定しなおすことは無い。1000万円の売上の8%と500万円の売上の8%では粗利の差は400万円になる。利益をつくると言うことは、稼動を伸ばすことであると考えている。
稼動が多いから低粗利率で商売ができる、というのが先か、低粗利で商売しているから稼動がついてくる、ということなのか、コロンブスの卵のように良く考えられるが、パチンコ業界においては、立地のいいところにお客さんは入る。つまり、稼動があるから低粗利で営業ができると言うのが定説だ。しかし、稼動のいいところ(立地のいいところ)は基本的に低粗利で営業をすることは無い。これが、パチンコ業界の2極化を進めている。その2極化に一石を投じる意味でも、われわれはチャレンジしている。お客さんを信じているのだ。それが自らパチンコベンチャーと名乗る所以なのだが、そうは簡単ではない。それだけにやりがいがあり、そういったホールが増えることがパチンコファンのためにもなるのだ!と確信し、これからもただ突っ走るのだ。
焼き畑農業的に目先の短期の利益を上げることが、必ずしも長期的な利益や存続を確保することにはつながらない、といういい例なのかもしれない。目先の資金繰りに困っているようなところはそんな悠長なことは言ってられないんだろうけど。