2006-04-15

もしGoogleがこの世に存在しなかったなら もしGoogleがこの世に存在しなかったなら - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - もしGoogleがこの世に存在しなかったなら - Nao_uの日記 もしGoogleがこの世に存在しなかったなら - Nao_uの日記 のブックマークコメント

今年から入ってきた新入社員の研修を後ろで見ていて、何かわからないことがあったら「とりあえずGoogle」という習慣が身についているのが面白かった。

本来は、手元に資料がある場合にはそちらを当たる方が確実性が高いので、必要な資料は手元に揃えていつでも見られるようにしておくべき、なんだろうけど「とりあえずGoogle」という姿勢もそれはそれで間違っているわけではない場合もあるからなんとも言い難い。何にせよ、自分の頃と比べると高々数年で考え方や仕事の仕方もずいぶん変わるものだな、と思った。

で、そんな様子を見ていてふと、「もしGoogleがこの世に存在しなかったらどうなっただろうか?」という疑問が浮かんだ。もっと正確で具体的な仮定として、「もしページランク計算の仕組み*1の発見が100年遅れていたら、世界はどう変わったか?」ということについてちょっと考えてみた。で、その結論だけを簡単にまとめると、「ソーシャルブックマーク的なものが先に出てくるだけで、大勢はさほど変わらないのではないか」という結果に至った。

もし自分が単純なロボット検索の検索精度を上げるアルゴリズムを考えるとしたら、機械的に出てきた検索結果の中から「たくさんクリックされたものの優先度を上げる」という実装をしたに違いない。ピックアップは機械的に行うけれど、その重要度の判断は人間の知恵に委ねる。多数の人間の知恵や行動の集積が、結果として何が重要なのかを教えてくれる。

ページランクにしてもソーシャルブックマークにしても、そのページの重要性を計る指標として最終的には人間が判断したものを集計しているに過ぎず、本質的な両者の違いはその計測方法と効率だけだろう。ページランクは「WebページをHTMLで書いて、そのページ中でリンクを張る」という行為を行った人間の労力を機械的に集約し、ソーシャルブックマークは「ブックマークしてタグを付ける」という人間の労力を集約している。

この方向性を突き詰めるとどうなるだろうか、ということに関してもうすこし妄想を進めてみる。

仮に重要性の指標を作るためのランキングの手法が、「Webページを書いてリンク」から「ブックマークしてタグ付け」へと、より人間側の労力が少なくてすむ方向に進歩しているのだと仮定すると、最終的には多くの人間のブラウザの履歴をリアルタイムに直接解析して、「Webページを見る」という行為そのものをランク付けの根拠に使用するのが一番シンプルで効率的なのかもしれない。

この方法なら明示的な人間の労力が全くない状態でリンクそのものの重み付けまで自動的に解析できるし、ページランク上昇を狙った機械的トラックバックスパムも、その効果を失う。

また、ブラウザ履歴を基に似たようなブラウザ履歴をもつ人たちを自動的にクラスタ化し、検索時にはそのクラスタ内でランクの高いページが表示されるようにすれば、検索精度はさらに上がる。同じ「Ajax」という単語を検索しても、その人のブラウザの履歴から、JavaScript関連のページがトップに出てくる人もいれば、KONAMIアーケードゲームのページが上に来る人もいる。

このようにクラスタ化されることに対する明確なメリットがあれば、ますます履歴を利用する専用ブラウザを使う人が増える。使う人が増えれば増えるほど、クラスタ化の精度が上がる*2。プライバシー的にはいろいろと問題があるかもしれないけど、もしかするとGoogleならいつかはこういうこともやりかねないな、と思った。

*1:初代Googleアルゴリズム解説:http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20060411_google/

*2:これを繰り返すとクラスタ間の断絶が深まってどんどん世界が狭くなるのか?、みたいな問題もあるかもしれないけど、その辺はまた別の思考課題で。対象となる世界全体の広さにも依存するだろうし、Webのリンクもそうなのか、とか、クラスタのつながりがWebに対するメタWebみたいな構造になるのか、とかSNSとかそれら同士の関係は?みたいな話になったりとか。