2005-11-17

サンクコストから始まって人間の感情・心理の構成の話 サンクコストから始まって人間の感情・心理の構成の話 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - サンクコストから始まって人間の感情・心理の構成の話 - Nao_uの日記 サンクコストから始まって人間の感情・心理の構成の話 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

サンクコスト(sunk cost)とはこれまでに使っちゃったコストのことだ。サンクコストの事を気にしちゃいけない。たとえば橋を作っている途中で残りの建設費が完成後の収入を上回るようならば、そこまでの完成度が1%だろうが99%だろうが、いくら注ぎ込もうが関係なくプロジェクトを中止しなくてはならない。

サンクコストを気にする行動は不合理である。それを防ぐにはこれはただ単に過去を一切気にしなければ良いだけの話だ。

おそらく動物はサンクコストを気にしない。単にこれまでの経過を気にする能力が無いだけの事だけど。

だけど人間はサンクコストを気にする行動をいろいろ取る。何故わざわざそうなったのか?

全部は分析できないし橋の例とも違うけど、サンクコストを気にする行動のうちの一つ「復讐」について考えてみる。復讐は帰りもしないものの為に破壊や攻撃をすることだ。このゲインのない一見無駄な行動が存在する理由は抑止であろう。「私は、そして人間一般は、必ず復讐をするものなので私に悪い事をしないで下さいね」ということを明らかにするためにも、すでに取り返しがつかなくとも復讐はしなくてはならない。それは未来の当人や人間一般のロスを防ぐためである。一見、過去に拘泥しているように見えてもこれは本質的には未来を良くするための行動なのだ。

しかし、この「復讐」をあえてとどめるための心理もある。それは「許し」である。これが存在する理由は実は私にも良く分からないが、例えば復讐の連鎖による被害を止めるためなのかも知れないし、あるいはある種のゲーム理論上の設定で現れるように、敵が未来の協力者になりうる可能性から利益を得るためかもしれない。※

復讐とその効用についての話。たとえ非合理であったとしても抑止効果が全体の効率を上げる。囚人のジレンマでも一回ではなく複数回繰り返して復讐と許しの要素を加味することで問題に数学だけでは解決しにくいような複雑さが生じ、単純に「裏切り/裏切り」のナッシュ均衡に陥ることなく互いの利得も考えることができるようになる。*1

「復讐の可能性」によって抑止力が有効に発生するためには、生物でいうとどのレベル以上の知性が必要になるんだろう?

なんで感情のことを考えるかと言うと、それが知能の本質と関係があると思うから。その話はまたそのうちしますね。

感情が生まれた理由と知能の発達過程には関連性がある、と。なるほど。