2005-02-03

[][]プラニバース 2次元生物との遭遇 プラニバース 2次元生物との遭遇 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - プラニバース 2次元生物との遭遇 - Nao_uの日記 プラニバース 2次元生物との遭遇 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

もし2次元世界が存在したら、そこにはどのような物理法則が働き、どのような生物が生まれるのだろうか、ということをテーマとしたSF小説

カナダ、ウェスタン・オンタリオ大学コンピュータ・サイエンス科のコンピュータで学生が2次元世界のシミュレーションを行っていると、ふとしたきっかけでそのプログラムを通してイェンレッドと名乗る2次元生物とのコンタクトが始まった。「プラニバース」と呼ばれる2次元世界の中を旅するイェンレッドとの交信を通して、次元が一つ少なくなると世界がどのように変わるのかが徐々にわかってくる。

2次元世界の説明が多いため、正直SFとしてのストーリ展開はあまり面白くはなかったが、2次元世界における物理法則や自然、生命の仕組みや機械工学などよく考証された設定はとても興味深かった。2次元の歯車は3次元と同じ形では表面速度が変えられないので役に立たない、とか、2次元では神経回路や電気回路が交差できないので複雑な生命は生まれ得ない、という問題をフリップフロップのような回路を作ることで信号を交差させる仕組みを考案して解決したりなど、2次元特有の問題に対する深い考察や面白いアイデアがたくさん見られた。

重力場・流体などの複雑な物理計算や群体・生命進化などの簡易シミュレーションのプログラムを書くときに、大量のデータを高速に処理するために3次元でなく2次元で作成することがある。そのようなときにこの本のいろいろなアイデアを応用してみるのも面白かもしれない。