■ 個人開発者の天谷大輔氏が「洞窟物語」で講演 北米からも賞賛されるゲームの開発ポイントを語る
つまるところ天谷氏は、現在も個人開発者のままである。IGDA日本によると「同人ゲームクリエイターとしてはGDCで初のスピーカー」だという。その講演内容は、プログラミングやビジュアル、サウンドと「洞窟物語」の全てを1人で手がけた天谷氏が、全ての要素についてのポイントを語るというもの。ゲーム開発は分業化が進み、GDCの講演もゲームの1分野に絞られることが多い中、あらゆる要素を1人で語るという内容においても稀な講演となった。
昨日のよりもさらに詳しい解説が。
■ 「洞窟物語」正式公開!
2004年12月21日の日記より。
もう2年ほど前の事になるのですが、開発中の洞窟物語を見せてもらったことがありました。その時点でももう制作開始から2,3年が経っていて、完成度は80~90%、あとは細かい調整を残すのみで、1ヶ月後位にリリースする予定、という状態のものを遊ばせて貰いました。
しかし、そのバージョンはとてもよく作りこまれていたもののゲームシステムやバランス、演出などに荒削りな部分が多く、コンパクトではあったけど良くまとまっていて完成度の高かった「いかちゃん」の次回作としての期待にこたえられる内容ではない、ように思えました。
少なくとも前作「いかちゃん」のファンとしての自分にはそのように感じられました。
どうしようか迷ったのですが、その時感じた自分なりの改善点や修正点と「期待してたほど面白くなかった」という事をPixel君に伝えて、最低限、いくらかの作り直しをする方が良いのではないか、と提案しました。
ひとしきり遊ばせて貰って、駅まで送ってもらう帰り道でいろいろ話してる時に僕は、
「仕事でゲームを作っているなら、最終的には『売れる』ということが目的になる。
でも、フリーでゲームを作っているのなら、作っているPixel君自身が『満足する』ことが最終的な目的になるんじゃないかな。だから、Pixel君が一番満足できるようにするのがいいと思う。」
というような意味のことを喋りました。
それを聞いたPixel君はちょっと悩んだ後に、「今あるものを全て捨てて作り直す」と。
・・・あれからかなりの月日が経ち、ようやく完成の日が来ました。
全て一人で、何年もかけて一つのものを作り上げる孤独な作業に耐えうるモチベーションは驚嘆に値します。結局、基本コンセプトはそのままに、絵や音楽を含む相当な部分が作り直されているようでした。
遊んでみると、丁寧に調整されたゲームバランスや、ブロックの配置の一つ一つからも意図と意思が感じられ、ここまでのものを創りあげる過程でこめられた想いが伝わってくるようです。