2005-12-22

[][]ゲーム開発におけるテストの重要性 ゲーム開発におけるテストの重要性 - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - ゲーム開発におけるテストの重要性 - Nao_uの日記 ゲーム開発におけるテストの重要性 - Nao_uの日記 のブックマークコメント

逆にテスト重視の姿勢や、それによってドラスティックに内容が変化する様子は、あまり新鮮には感じませんでした。言ってしまうと成り行き任せと紙一重の状況なんですから、レベルの違いを除いて方向性だけを考えれば、アマチュア的な開発現場では当然の如く行われている光景でしょうし。

「テスト重視の姿勢」などというのは本来あたりまえにできていないといけない事のはずで、そのあたりまえの事すらできていないチームが、つまらないゲームを作る。

物量を詰め込むことに追われてテストすらままならない、メンバー各自が自分の作業を部品単位でしか見られなくて全体が見えない、全体を見るべき人間が目の前の仕事に忙殺されてスケジュールのつじつま合わせて手一杯、などといったチーム全体がいわゆるカオス状態になってしまうと、テストどころではなくなる。逆に、スケジュールの遵守をお題目に無理をせず、確実にできることだけをこなすような悪い意味での秩序状態に陥ってしまうと、それはそれで面白いゲームになりにくい。

チームの人数が増えれば増えるほど、「秩序」か「カオス」の両極端に寄りやすくなる。「大作」と呼ばれるゲームに時々とんでもなく品質が低いものが見られるのも、このような状況に陥っているからなのかもしれない。秩序状態から励起するためのアプローチとしても、混沌を収束させてカオスの淵に向かうためにも、ゲームの製作はテスト重視の開発姿勢であるべきだろう。

任天堂マリオクラブ猿楽庁は、ゲームの製作過程で適切なテストを行って結果をフィードバックするために存在する。しかし、本来この機能はチーム内で可能な限り賄うべきだ。

まず、個別のセクション内でできる限り仕様をつめた後に、チーム内で相互に自分の担当外のものをテストしあうようにしてわかりにくい点をつぶしたり、より面白くするためのアイデアを出し合う。その過程でチーム内にどういう作りだとわかりにくくなりやすいのか、とか、改善するためにはどのようなアプローチが有効か、などといったノウハウも溜まっていく。また、そのゲームについてまったく知識のない人に触ってもらわないとわからないことも多々あるだろうから、その次の段階では社内の他チームの人にもテストをしてもらい、その結果を踏まえて修正を行った後に、はじめて外部のテスターの人に感想をもらう。

未完成なものをいきなり多くの人に渡して感想を拾おうとしても、みんなから同じような問題点を指摘されるだけであまり参考にならない。逆に、ある程度の完成度に達しているものはできるだけ多くの人に試してもらって意見を拾うようにすることで、想定していなかった意外な盲点を発見しやすくなる。開発末期にまとめて意見をもらったとしてももう手遅れで修正できない事も多いため、製作初期の段階からテストする人数を順にピラミッド的に増やしながら随時修正を繰り返していくことが、効率的に問題点を直しながらクオリティを上げていくうえで重要であるように思う。

このように時間と手間をかけて熟成を重ねていけるような体制を整えることは簡単ではないだろうけれど、「すべてを見通せるだれか一人の天才的な人間がすべてを決められる」などといったきわめて特殊な状況ででもない限り、独りよがりにならない、多くの人に受け入れられるような間口の広いゲームを作るためには必須の工程であるように思っている。