2005-04-19

[][]ゲームを研究する、ということ ゲームを研究する、ということ - Nao_uの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - ゲームを研究する、ということ - Nao_uの日記 ゲームを研究する、ということ - Nao_uの日記 のブックマークコメント

http://d.hatena.ne.jp/samona/20050414#p2

自分も学生の頃に似たようなことを考えていたことがある。ゲームを遊ぶことや作ることを通して「ゲームとは一体何なのか」と考えることは長い間自分の中での大きなテーマだった。いつの日か「ゲーム論」と呼べるようなものを書いてみたいとも思い、そのために稚拙ながらも元となる考察や資料をまとめたりもしていた。本質的に「良い」何かが存在すると信じて、ゲームデザイン面から見た「至高のゲーム」を求めて「より良いデザインとは何か」「良いゲームであるためにはどうあるべきか」と日々考えていた。

けれど実際に仕事としてゲームに関わるようになって数年が経ち、少なくとも商業ゲームに関してはデザインでもアートでもなく、商品としてのエンターテインメントである、と遅ればせながらもそのように認識するようになった。商品である以上、想定した対象に受け入れられることが第一の目標であり、対象が違えば何が良くて何が悪いのかの判断基準が正反対となってしまうこともある。また、エンターテインメントいうもの性質上、本質的な優劣をつけることは難しいため、売上なり収益以外に客観的な良し悪しの基準を設けにくい。

そのためか自分の中で「本当に良い」と思うための基準が昔とは変わってしまい、少なくとも当時考えていたものと同じ土俵でゲームについて考えることができなくなってしまった。

(そもそも自分ごときがそんなことを考えていること自体に意味があるのかどうかもわからない)

別の問題としては、たとえば比較的分析のしやすい「三目並べ」「五目並べ」「リバーシ」「フィーア*1」をそれぞれ比較・研究・分析したり、「本将棋」「中将棋」「大局将棋」のそれぞれの違いや指手の幅の解析、ゲームデザイン面の良し悪しなどが研究の結果わかったとしても、それがより良いものを作るための土壌となれるか、というと疑問は残る。(似たゲームを作るときには考察すべきことだとは思うけれど)

たとえそれが研究として役に立ったとしても、それを似た種別以外のゲームに応用できないのであれば種類ごとに個別に研究を行う必要があるが、一般に「ゲーム」という言葉の指す範囲が広すぎるために、全ての種類のゲームに対して系統立てた研究を行うことは事実上不可能だろう。まずは何をどこまで研究対象とするのか、ということから考えはじめなくてはならない。

また、少なくとも今の自分の個人的な偏見の範囲ではおおむね「良質のエンターテインメントは個人の才能によってのみ作られる」と考えている。仮に、誰もが学べる「ゲームデザイン論」が存在したとして、それが最低レベルの底上げにはなってもそこからにさらに素晴らしいものが生まれてくる土壌につなげることは難しいのではないか、と思っている。(それによって層が厚くなり、市場が活性化して多くの才能がそこに流入する、ということを期待?)

「一般的に受け入れられるためにはこのような場面ではこうあるべき」みたいなゲームの基本的な文法のようなものは間違いなく存在するのだろうし、それを学ぶことは有益ではあると思う。(現場でもせめて給料をもらって仕事するんだったら最低限そのくらいは知っておいてくれ、と思うこともある)

それでも、ただ文法さえ知っていれば名文が書けるというものではないし、必要とされているのはただ意味が通るというだけの文章ではなく、多くの人が感動するような素晴らしい詩や小説に近いものなんだろう。

仮に「ゲームデザイン学科」のようなものが存在したとして、大学の映画・映像学科が映像業界に対して持っているのと似たようなスタンスになるのだろうか?それがどんなものか知らないし調べる時間も気力もないのでどうなのか知らないままに適当なことを書いてるだけだけど。

厳しい言い方でものすごく極端なものの見方をすると、ゲームのデザインという作業はファーストフード店のアルバイトと同じではないのだから、その程度のことさえ教えてもらわないとわからない人では現場では大して役に立たない、という見方もできる。むしろ、実際に一緒に仕事をするならそういう学科の卒業生であっても「そこで学んだけれどほとんど無意味だった」と言い切ってくれるような人の方が欲しいのではないか。

そもそもゲームデザインの研究とは、何をすべきなのか?「ゲームデザイン」と名のつくような本で有名なものは一通り入手して読んでみてはいるものの、「ゲーム論」のようなものをまとめるにはどうすればいいのか、ということに関してはまだ良い答えは見つかっていないし、結局考えていることも10年前と大して変わっていないのかもしれない。海外のゲームデザイン研究についても何をやっていてどんな成果物がでているのかとかについてはまったく知らない。きっと知るべきなんだろう。

なんだか文章がまとまらない、なにが書きたかったのか自分でもよくわからなくなってきた。とりあえず、現実逃避終了。