■ 画像処理から物体認識まで幅広くカバーした書籍「コンピュータビジョン」
本書はコンピュータビジョンの最前線で活躍するフォーサイス教
授とポンス教授による快心の教科書の日本語訳である。発売時に(草稿も含めて)
ビジョン界の隅々にまで衝撃を与え,一躍にしてデフォルトスタンダードの教
科書となった迫力は今や普遍的なものとなりつつある。ビジョン研究で展開する
実にさまざまなアイデアが彼らのビジョン哲学に基づいた非常に鋭い切口で
網羅され,どう個々の基礎事項に結びつけて理解すべきかが見事に説明される。
「ビジョンのアイデア」に重点が置かれ,著者らの数学的な理解力の奥深さによ
り実に簡潔に説明される。現代のコンピュータビジョン(特に論文やソフトウェ
アでのカッティングエッジな技法を理解するための基礎知識として)を最短の
ルートで学ぶために現在最高の教科書の1冊である。また,本書は画像処理だ
け,物体認識だけ,3次元再構築だけという断片的なものではなく,ビジョンの
全体像を示す数少ない書物でもある,アイデアの数や種類も非常に多く,ビジョ
ン事典としても貴重な書物であろう。さらに,物体認識に4通りもの方法がある
ことを知る読物として,あるいは画像理解や画像ベースのレンダリングなどの概
要を知る読物としても面白い。クーンデリンクを理解するための入門書としても
面白いかもしれない。[原著名:Computer Vision: Modern Approach]
読んでみたいけど高い。